ギリシャに端を発した欧州の財政危機。ギリシャのみならず、ポルトガル、スペイン、イタリアなどのPIIGS諸国にも飛び火し、世界経済を失速しかねない状況にある。しかし、財政悪化が進む日本にとって、これは対岸の火事ではない。『2013年 大暴落後の日本経済』を上梓した中原圭介氏に、欧州危機の次に起こりうる日本の財政危機についてうかがった。

欧州危機の次はどこか?
ヘッジファンドが狙う国、狙わない国

 最近、書店に行くと、「日本は財政破綻する」といった内容の本が並んでいます。連日のように欧州の財政危機が報じられ、その内容は深刻さを増すばかりです。国民の間にも危機感が広まっているのかもしれません。

 しかし私は、日本が財政破綻することはないと考えています。

 その理由は拙著『2013年 大暴落後の日本経済』を読んでいただくとして、日本がたとえ財政破綻を回避できたとしても、国民の生活は確実に苦しくなります。

「国債の暴落なんて、自分にはあんまり関係なさそうだな」と思っている人もいるでしょう。

 ところが、それは大きな間違いです。国債の暴落も財政の危機も、私たちの生活に大きな影響を与えます。

 国債暴落の引き金は、ヘッジファンドによる売り崩しです。

 ヘッジファンドは戦略上、実質的な債務を「国家の債務+金融機関の債務」と考えています。この基準で判断すると、実は英国も債務の対GDP比率は200%を軽く超えてしまいます。英国は金融業に偏重していることもあり、金融危機の傷跡がとりわけ大きく、財政を立て直しするには相当の困難が伴うはずです。

 ところが、英国は投機マネーの攻撃を受けていません。

 理由ははっきりしています。英国政府は歳出削減と増税を組み合わせて、大胆な財政再建を実行できる。ヘッジファンドがそう見ているからです。