「一流のビジネスパーソン」たちは、日々どのように「ノート」を活用しているのか。マッキンゼー出身で現在は建築家として「よりよい暮らしや街」を求めて活動する織山和久氏に、同じくマッキンゼー出身で「一流のノート術」を研究する大嶋祥誉氏が、マッキンゼーなどで磨いてきた「ノート術」について迫る。

元マッキンゼーの建築プロデューサーが「手書きのノート」を手放さない理由織山和久(おりやま・かずひさ)/株式会社アーキネット代表取締役。1961年生まれ。学術博士。東京大学経済学部卒業。三井銀行(現三井住友銀行)を経て、1983年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。コンサルタントとして、建築・不動産、金融、官公庁をはじめ、地域・都市経営に関するプロジェクトに従事。1995年、株式会社アーキネットを設立。インターネットを利用し、建築家と創るコーポラティブハウスを企画・運営し、現在までに106棟を竣工・進行させている。著書に『建築・不動産ビジネスのマーケティング戦略』(ダイヤモンド社)、『東京 いい街、いい家に住もう』(NTT出版)など。横浜国立大学先端科学高等研究院客員教授、法政大学大学院デザイン工学研究科特別講師、東京電機大学大学院未来科学研究科建築専攻特別講師、広島県立大学大学院経営管理研究科特別講師。

「余白とピラミッドストラクチャ」の組み合わせがノート術のすべて

大嶋:会議やミーティングのとき、ノートに書き留める上で何か意識していることはありますか?

織山:見出しをつけて、その見出しに含まれる要素をその下に書いていくということは、意識というより、ごく自然にやっています。ピラミッドストラクチャみたいな感じで、整理しながら書くというのが染みついているんでしょうね。

元マッキンゼーの建築プロデューサーが「手書きのノート」を手放さない理由

大嶋:もはや頭の中がそういう構造になっている?

織山:それはあるかもしれません。だから、話を聞きながら、行や段を落として、適当に余白を空けながら書いています。

大嶋:その「余白の空け方」というのは織山さんの感覚の部分で、「頭のいい人のやり方だな」とも思うのですが、「どんな感じで余白を空けるのか」を、もう少し具体的に紐解いてもらえますか。

織山:そんな大げさなことではないんですが、話を聞いていると「ちょっと違う話になったな」とか、「前の部分と繋がらなくて、何か省略されているな」とか感じることはないでしょうか。

 会議をしている場面なら、大前提として「この会議の目的は何?」という部分がありますし、「最終的な成果はどこにあるんですか?」「その根拠は何ですか?」「どういう判断基準によって、そう言ってるんですか?」などいろいろと感じることがあるはずです。

 そういうことが省略されていたり、抜けていたりすると、余白として残しておきます。

大嶋:すると織山さんは、余白として残っている部分を、あとで質問するという感じですか?

織山:そうです。会議やミーティングの場合、余白が埋まっていないというのは、それだけ話が不十分だということですし、ストラクチャになっていないというのは、会議としての質が悪い証拠ですよね。

 私はそういう会議はしないようにしています。

大嶋:会議でとるノートが、書きながらピラミッドストラクチャになっていて、話の構造や不足している要素が見えるようになっているんですね。

織山:そもそも余白もなく、びっしり書いていると、後で「追加したい」と思ったときに書けないし、面倒じゃないですか。そういう意味でも、適度に余白を持たせながら、見出しを立てて、構造的に書いていくというのが私の自然なスタイルです。