“伝説の外資トップ”と呼ばれる男をご存知だろうか? かつてジョンソン・エンド・ジョンソンやフィリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社務めた実績を持つ新将命氏だ。経営職を退いた現在では、数々の現役社長の経営アドバイザーを引き受けるかたわら、「リーダー人財」育成のために国内外で精力的に講演活動を行っている。
数々のロングセラーを生み出してきたことでも知られる新氏が、このたびダイヤモンド社より新刊『伝説の外資トップが説く 働き方の教科書』を上梓した。同書の発売を記念して、仕事で自己実現を図りたいと願うビジネスパーソンに役立つとっておきのアドバイスを、2週にわたり語っていただく。

アッという間の1週間

 いきなり質問をひとつ。次の数式は何を意味すると思いますか?

   (80 − 35)×365×(24 − 7)= 279,225

 これを“翻訳”すると――。

新 将命(あたらし・まさみ)株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。1936年東京生まれ。早稲田大学卒。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から2011年3月まで住友商事株式会社のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。長年の経験と実績をベースに、国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。
希薄な虚論や空論とは異なり、実際に役に立つ“実論”の提唱を眼目とした、独特の経営論・リーダーシップ論には定評がある。ユーモアあふれる独特の語り口は、経営幹部層や次世代リーダーの間で絶大な人気を誇る。近著『経営の教科書』(ダイヤモンド社)、『伝説の外資トップが説く リーダーの教科書』(武田ランダムハウスジャパン)は、現役経営者、若手リーダーの必読書となっている。

 たとえば現在35歳の男性が平均寿命の80歳まで生きるとすると、余命はあと45年。45年に1年(365日)を掛けると16,425日。さらに、この人が毎日7時間の睡眠をとっているとすると、24時間からその分を引いて17時間。先ほどの16,425日に17時間を掛けると、279,225時間ということになります。

 うるう年という細かいことを忘れてザックリと計算すると、この人が80歳で天寿をまっとうするまでに目を開け頭を使って活動している「生きた時間」は、約28万時間ということです。

 28万時間という数字を見て、あなたはどう感じるでしょうか。「まだまだこの先の人生は長いな!」と思いますか? それとも、「たったの28万時間!」と驚くでしょうか。

 たとえば私は、週末ごとに「もう金曜日か、1週間は早いな」と感じます。あなたもそうだとすれば、あなたにとっての119時間(睡眠時間を7時間として、17時間×7日)はアッという間だということになります。

 同じように、誕生日や年末を迎えるたびに「もう1年経ってしまったのか」としみじみ実感するのなら、6,205時間(17時間×365日)もやはりアッという間なのです。