『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』がダイヤモンド社から発売されたことを記念して、20万部突破の第一弾『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。

貢献感は「自己満足」でいい

ほめられたり感謝されなくても「貢献している」という充実感を味わうためにはどうすればいいのか?

 共同体感覚を高めるためには「貢献感」を感じ、自己信頼を高めることが不可欠です。しかし、だからといって感謝されることや、ほめられる必要はありません。たとえ全員から無視されたとしても「貢献感」を感じることは可能なのです。
 それは一種の自己満足です。「自分は正しいことをした。誰からも認められないが、誰かの役に立つことができた」。そのように自分一人で感じることが、最も正しい「貢献感」の感じ方なのです。相手からの感謝や評価がないと貢献感を感じることができないとしたならば、あなたは常に相手に依存していることになります。相手がほめてくれなかったら、相手に怒りを感じるでしょう。そして感謝を求めてしまうでしょう。それは、本物の貢献感ではありません。本物の貢献感は、相手に依存しない、自己満足でいいのです。
「人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人をとがめず我が誠の足らざるを尋ぬべし」西郷隆盛の言葉です。人から認められることや感謝されることを求めずに天=人としての正しい道だけを見て行動しなさい、というメッセージはアドラーの教えに通ずるものがあります。また、儒教の古典『大学』の中には「慎独(しんどく)」という言葉があります。これもまた、人の目を気にせずに、誰も見ていなくても正しいことをし続ける、という意味です。幸福に通ずる道は東西共通なのだとわかります。

ほめられたり感謝されなくても「貢献している」という充実感を味わうためにはどうすればいいのか?アルフレッド・アドラー Alfred Adler(1870年-1937年)
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。

※本連載は日曜日以外の毎日更新します。