全国のマンション管理組合から、困ったときの"駆け込み寺"として絶大な人気を誇る外装専科。通常の価格から3〜4割は安いという見積もりは、伊藤洋之輔会長の合理的な経営が実現したもの。必要な修繕だけを真摯な姿勢で実行するという同社の強みに迫った。

外装専科
伊藤洋之輔会長

 2010年に発行された書籍『まちがいだらけの大規模修繕』は、現在8刷を数えるロングセラーとなっている。資金不足に悩む全国のマンション管理組合の"福音書"であり、大規模修繕の不条理な工事価格を是正する役割を担っている。

 同書は、創業者である伊藤洋之輔会長と共に、テレビ番組「ガイアの夜明け」「WBS(ワールドビジネスサテライト)」(共にテレビ東京)などでも取り上げられ、外装専科は適正な金額で施工する大規模修繕業者として、すっかり全国的にその名を知られるようになった。

本来かかる費用以上の
ものを支払っている

 十数年に1回の割合で行われるマンションの大規模修繕は、資産価値を保つための大事な工事。だが住民の代表で組織される管理組合は、工事については素人集団で、そこに付け込む悪質な会社や設計コンサルタントに被害を受けるケースも多い。そもそも業者間で談合が横行し、裏でリベートが飛び交うといわれる、不透明な世界なのだ。

 たとえ悪質な業者でなくとも、大規模修繕自体が"既得権益"と化しているため、住民の利益がないがしろにされる傾向がある。そもそも見積金と修繕積立金の総額が一致すること自体が奇妙だし、積立金が足りずに借金や一時金を集める管理組合も多い。

 「プロの立場で他社の見積書を見ると、必要以上の工事や不要不急の工事が追加されていることが目に付きます。そもそも大規模修繕で行われる工事は、建物の表面的な工事がメインで、建物の寿命を大きく延ばすものではありません。本来かかる費用以上のものを支払っているのが実情なのです」と、伊藤会長は苦言を呈するのだ。

外装専科安全大会の集合写真。これまで現場で大きな事故は起きていない