「名古屋」駅(名駅)に押される一方だった商業の中心地「栄」。老朽化したビルや百貨店の建て替えを機に、巻き返しを図る動きが出てきた。すでに2棟の新築タワーマンションが高評価を受けている「伏見」と合わせて、名駅に対する中区の逆襲が2018年の注目点となりそうだ。

加藤剛司
かとう・こうじ/エステイトアクティフ代表取締役兼代表執行役社長。東海高校、早稲田大学法学部卒。名古屋テレビ放送勤務を経て、現職。名古屋の不動産事情に精通、不動産の総合コンサルタントとして顧客の資産形成に寄与している。

 名古屋市内の分譲マンションの平均坪単価は、現状の250万円から300万円に向けて上昇傾向にあります。以前はタワーマンションの上層階の価格水準だった300万円台が珍しくなくなりそうです。こうした新築の分譲価格上昇に引っ張られて、中古物件の価格も上がっています。

 以前お伝えした東区葵一丁目の自動車販社跡はすっかり更地になりました。大手デベロッパーがタワーマンションを建てることになると思います。

 「名古屋」駅周辺の再開発案件も、旧国鉄笹島貨物駅跡地(12.4ha)と中川運河船だまり周辺を含む再開発事業「ささしまライブ24地区」が10月にまちびらきをしたことで一段落しました。あおなみ線「ささしまライブ」駅前のグローバルゲートには、「名古屋プリンスホテル スカイタワー」が高層階に入り、商業施設も話題になっています。

 とはいえ、周辺の不動産価格への影響はなさそうです。

 むしろ、名駅西口の太閤一丁目交差点からこの地区に向けて整備中の道路(椿町線)がその先につながることで、中川区方面へのアクセスがどのように改善するのかに注目しています。