幸運な結果は忘れた頃にやって来ることがある。

 ビジネスの世界であれ、学術の世界であれ、スポーツの世界であれ、芸術の世界であれ、誰もが成功を夢みて、日夜頑張っている。皆、その道のプロフェッショナルだから、一生懸命やっている、とか、最大限努力している、というのは当たり前のことで、長い話を短くすれば、結果が全てだ。

 非情なことだけれど、結果が重要で、結果がよければプロセスが正当化されるのは、世の中ではまま見られる光景だ。

 そこで、結果が出るタイミングについて考えてみる。

 スポーツならば試合が始まれば、結果はすぐ出る。陸上100メートル走なら10秒足らず、マラソンでも2時間ちょっとで勝負がつく。ビジネスではどうだろうか?手がけたプロジェクトが実を結ぶのに、どれほどの時間が必要だろうか?

 すぐに結果が出る場合もあるだろうし、なかなか結果が出ないこともあるだろう。月並みだけど、ベストを尽くして、後は待つしかない、ということかもしれない。

 と、いうことで、今週の音盤はサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」です。

 と、言うのも、サイモン&ガーファンクルと言えば、ポップ音楽史上で最も成功したデュオ、と断言できますが、最初の2年は全く結果の出ない忍従の日々だったからです。本人たちも完全に諦め、デュオは実質的に解散状態。そんな忘れた頃に、突然、幸運な結果が出たのです。全く売れなかったデビュー・アルバムのB面の片隅にあった曲が、ビルボードの1位になっちゃたんです。その曲こそ「サウンド・オブ・サイレンス」です。

 そこに至る過程は、明日こそは、と心中期すところのあるビジネス戦士に、何がしかの勇気を与えてくれるはずです。