「子どもの貧困対策」に紛れて生活保護の少年少女が支援を削られる矛盾2018年度からの生活保護費削減で、生活保護の子どもたちのための費用が大幅に減額されそうだ。国を挙げて「子どもの貧困対策」が叫ばれるなか、なぜそんなことが起きるのか(写真はイメージです)

生活保護世帯の絶望が
新年度にさらに深まる理由

 日本で少子高齢化が問題となり始めて、長い年月が経過した。少しずつ充実が計られている育児支援政策は、年々深刻になっていく現実に追いつけているようには見えない。今回は、子どものいる生活保護世帯を手がかりに、少子化に対する国の取り組みの「本気度」を計ってみたい。

 2018年度からの生活保護費削減は、現実の可能性となっている。政府予算案は、本日(2017年12月22日)にも閣議決定されるだろう。そこには、生活保護費の削減予定も含まれるはずだ。

 年明けの国会で予算案が承認されると、4月には生活保護費削減が現実となる。年度初めの4月には、多くの人々が不安と期待のもとで新しいスタートを切ったり、気持ちを新たにして小さな努力を始めたりすることだろう。

 しかし生活保護費が削減されたら、生活保護で暮らす人々には、「どうすれば今月を生き延びられるのか」という問題、さらに「自分はこれからどうなってしまうのか」という不安に打ちひしがれる新年度が始まることになる。生まれや育ちを自ら選んだわけではない子どもたちも同様だ。

 子どもの貧困率は、2015年に13.9%だった。2012年時点の前回調査では16.3%であったから、若干の改善が見られている。2012年には日本の子どもの6人に1人が貧困だったが、2015年には7人に1人だった(厚労省:平成28年国民生活基礎調査の概況)。若干は改善したとはいえ、高い水準にあることは政府も認めている。

 むろん、政府も数々の検討を行い、対策を実施している。内閣府には「子供の貧困対策」ページがあり、現在も有識者会議や寄付促進が活発に行われている(内閣府:子供の貧困対策)。少なくとも政府は、貧困状態にある子ども全員を「放置しておきたい」「より悪い状態にしたい」と考えているわけではないのだろう。問題は「どこまで本気なのか」ということだ。