現在の米国株は欧州債務危機の拡大にもかかわらず、10月末に安値を付けた後はボックス圏で底堅い動きとなっている。これに似た状況が2008年春から夏にかけてもあったが、両者を比較しながら米国株について考えてみる。

 まずS&P500の動きだが、08年のときは、サブプライム問題により前年の10月9日から3月10日まで153日(土日・祝日を含む、以下同)で、18.6%下落した。これに対し11年は4月29日から10月3日までの157日で、19.4%下落しており、期間・率ともほぼ同じだ。

 08年は3月16日のJPモルガン・チェースによるベア・スターンズの救済合併発表などをきっかけに、3月10日の安値から5月19日の戻り高値まで70日で、12%上昇した。今回は10月26日の欧州首脳会議への期待感などから10月28日までの25日で16.9%上昇。その後下落したものの、再度上昇して戻り高値をうかがう動きだ。

 08年はそこから再度下落した。原因は危機対応が十分でなかったことと景気が悪化したことの二つである。