年末になると講演も多い。19日は日帰りの講演で佐賀県を訪れた。数年ぶりの訪問だが新しい発見があった。

 出発前に、講演原稿を作成した時、気になる言葉があった。佐賀県からの依頼文書に「佐賀県は今年度、『中国交流元年』として、中国と様々な形での交流が始まる」といった表現があった。

 今さら「中国交流元年」を謳って中国との交流を始めても遅いのでは、とも思ったが、それでもその表現に引っ掛かるものがある。今になって、なぜ「中国交流元年」云々というのか、自分なりにその理由を探そうとしたら、この間、中国の春秋航空に協賛の依頼をした時のことを思い出した。

自治体の観光事業は
紋切り型の構想ばかり

 中国の大学で行われる予定の日本スピーチコンテストの準備段階で、優勝者に対する賞品として、日本訪問のエアチケットを提供することが決まり、春秋航空への働きかけを頼まれた。その際、春秋航空と日本との関係を調べた時、来年の1月に、佐賀空港に春秋航空が定期便を飛ばすことを知った。

 これだ、と「中国交流元年」と謳う佐賀県の意図を理解した私は、そこでもう一つの事実に気付いた。ここ10年近く、中国人観光客を誘致すべきだといろいろな場で訴える私のところに、観光をテーマとした講演の依頼が結構あった。

 北海道には少なくとも20回近く呼ばれている。昨年の秋から今年の年初にかけて、四国に講演や観光関連の視察などで5回も招かれた。沖縄にも観光関連の講演で呼ばれたことがあった。しかしどうしたわけか、九州からは、経済や日中関係をテーマにした講演依頼は度々あったが、観光をテーマにした講演依頼は一度もない。そこで佐賀県から依頼された講演のテーマに微修正を入れて、観光関連の内容を盛り込んだ。