読者から、「23区で一番安心・安全な区はどこですか?」との質問をいただいた。指標のとり方によって評価は変わるが、できるだけ客観的かつ単純な方法でお答えしよう。

 とり上げた指標は全部で11項目。防災に関する指標からは、5項目とした。首都直下地震の発生時に想定される建物全壊比率と建物焼失比率、人口当たりの死者数、人口当たりの避難者数である。

 避難者数は、避難生活長期化のリスクを考慮し、1ヵ月後の数値とする。ライフラインからは、復旧までに時間を要することなど、影響が大きい断水率を取り上げた。

 日常生活の安心・安全については、昼間人口当たりの刑法犯認知件数、同じく昼間人口当たりの暴力団犯罪の検挙・送致件数、面積当たりの交通事故発生件数、交通事故100件当たりの死傷者数だ。

 火災は建物被害に着目し、面積当たりの建物火災発生件数と、1火災当たりの焼損床面積とする。本稿でおなじみのデータばかりだ。

 これらは、いずれも数値が小さいほど安心・安全度が高い。そこで、各指標の23区のランキングを単純に足し上げて、各区の評点とした。

これは思わぬダークホース?
「安心・安全No.1」は板橋区

 その結果は、以下のとおり。第5位から順に、簡単な理由と共に発表していこう。予想どおりだろうか。それとも意外な結果だろうか。

 ・第5位は、人口の急増が続く中央区。だから、人が住みたいと望むのだろう。

 ・第4位は、目黒区。女性があこがれる街は、安心・安全の裏づけがあってこそだ。

 ・第3位には、リッチな山の手住宅区を代表して、世田谷区がランクインした。

 ・第2位は、のどかな田園風景のイメージを残す練馬区。印象からしてリスクとほど遠い。

 そして、第1位は板橋区。多くの予想を裏切った、ダークホースと言えなくもない。