有機ELディスプレーの投資資金の調達に向けて、スポンサー探しに奔走する中小型液晶大手ジャパンディスプレイ。過去の液晶工場の巨額投資が今の財務を圧迫する中、再び巨額資金を投じるか。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)

 米アップルが2017年11月に発売した「iPhoneX」。これに初めて有機ELディスプレーが搭載されたことで、中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)が揺れている。

 JDIは16年度の売上高の53.7%をアップルに依存しているにもかかわらず、有機ELの量産工場を持っていない。

 18年のiPhoneは、3機種中2機種に有機ELが採用され、JDIが得意とする液晶ディスプレーは一段と減る見通しだ。

 東入來信博・会長兼最高経営責任者は、これに敏感に反応し、一刻も早く液晶工場を有機EL工場に転換する必要性を訴える。

 ディスプレー工場の立ち上げには投資判断から量産稼働まで最短でも1年はかかるため、ターゲットとなるのは19年モデルのiPhoneで、JDIは18年春にも投資判断をしたい考えだ。

 だが、JDIの財務は、ディスプレー工場の巨額投資を許す状況にはない。

 12年に日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合して発足したJDIは、初年度と2年目こそ最終黒字だったが、その後は赤字が続き、17年度は4期連続の最終赤字になる見通しだ(図(1))。