陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、「対応バイアス」を取り上げる。

――問題です

 以下のAさんの問題は何か。

 Aさんはある会社の企画室長。B君とC君のどちらを係長として昇進させるか検討している。企画室は営業などとは違って数字での評価がしづらいことから、人事考課については、業績の評価よりも、能力や態度に関する評価を重視していた。

「この360度評価(部下や同僚、上司など、様々な関係者の視点を取り入れ、多面的に行う人事評価)を見ると、B君の方がC君よりもかなり評価が高いな。自分から見ると2人に遜色はつけにくいけど、いつも近くで見ている人間の意見だからな。やはりB君の方を係長にしようか。でも、B君のいるDチームはいつも相互評価が甘い傾向がある気がする。それに対して、C君のいるEチームはやや厳しめだ。額面通りに受け取っていいものか…。それにしても、5点満点で0.8点の差がある。0.8点か…。やはりこの差は大きいな。やはりB君の方を係長にするか」