「平清盛」が広島に生む
経済効果は202億円

 新年を迎えて早々の1月8日、今年のNHK大河ドラマ「平清盛」が始まりました。今からおよそ900年前、皇族と貴族が対立して混迷を極めた平安末期を舞台に、本当の親を知らぬまま武士の新興勢力・平氏のもとで育てられた清盛が、義父・忠盛とともに海賊退治を行い、一人前の武士に成長していくというストーリーです。

 これまでアンチヒーロー的に晩年の姿が描かれることの多かった清盛ですが、今回は若手俳優の松山ケンイチを主人公に配し、その若き日を描くことで従来のイメージを一新させるねらいのようです。

 平氏全盛の礎を築き上げた清盛は、現在の神戸市にあたる福原に首都を移して公家からの政治権力奪取を図ります。あるいは、瀬戸内海の制海権を手中に収め日宋貿易の利権を独占して財を成し、当時の日本に貨幣経済を持ち込むなど、日本の歴史に名を残す政治家の一人であったと同時に、当時としては斬新な経済感覚とベンチャースピリットを持ち合わせた稀代の人物であったという面にスポットを当て、ドラマは描かれています。

 中国電力のエネルギア総合研究所が発表した試算によると、この大河ドラマ「平清盛」が広島県内に及ぼす経済効果は、観光客の増加などで202億円と見込まれています。

 この試算は、2006~10年に大河ドラマの主な舞台となった県の観光客数が、放送の前年と比べてどのくらい増えたかなどにより分析したものです。06年放送「功名が辻」の高知で4.9%、07年「風林火山」の長野で3.6%、08年「篤姫」の鹿児島で4.8%、09年「天地人」の新潟で5.8%、そして、10年「龍馬伝」の長崎で3.1%と、観光客数は平均で約4.4%増えています。

 今回の舞台となる広島県は、2010年の県内観光客数が5577万人であったため、上記の平均を当てはめれば約245万人増の5822万人が訪れるという予測が成り立ちます。とりわけ、清盛ゆかりの嚴島神社(廿日市市)や音戸の瀬戸(呉市)などで観光客が増えるといいます。202億円の内訳は、観光客の宿泊や飲食などによる直接効果が128億円、ホテルや飲食店の関係者らが収入を消費に回すなどで生まれる間接効果が74億円と試算されました。

 広島県は「平清盛」の放送を契機に、清盛ゆかりの地であり活動の舞台となった広島の歴史を全国に紹介し、県のイメージアップと観光客誘致促進、ならびに地域経済の活性化を目指して「大河ドラマ『平清盛』広島県推進協議会」を昨年9月に発足させました。そして、同協議会の民間プロデューサーには、広島出身の企業経営者ら3人に加え、私も参加させていただくことになりました。