浮き沈みの激しい家電量販店業界にあって、61年もの長きにわたって増収を続けているのが業界4位のケーズホールディングスだ。同社の加藤修一社長に、息の長い成長の秘訣を聞いた。(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)

ケーズホールディングス 加藤修一社長
ケーズホールディングス 加藤修一社長 Photo by Masato Kato

――「ムリをしない、急がない経営」とはどういう意味か。

 やるべき事をちゃんとやりましょう、ということ。

 経営とは言ってみれば“終わりのない駅伝競走”のようなものだ。会社は永遠に続かなくてはならない。駅伝大会に出て、後先考えずに全速力で走り出しますか?そんなことはしないでしょう。それでは必ず途中で息切れしてしまう。


――しかし、企業は常に100%以上の力を出し、少しでも業績を伸ばすことを求められる。

 経営というのは、どのような状況にも対応できるような余力や選択肢を、常に持っていなければならないと考えている。人は常に100%以上の力を出し続けることはできないものだ。もちろん、瞬間風速ではできると思うが、それは続かない。自分のペースを守ることが大切だ。

――何がきっかけで、そうした方針に至ったのか。

 会社はゆっくり伸ばしていきなさい、というのは親父から言われてきたことだ。常に自然体でいるべきだ、と。

 創業以来61年間、オイルショックやバブル崩壊など様々な試練があった。しかし、会社は一度も売上高を落とさずに、増収を続けてくることができた。しっかりとやるべき事を、焦らずに、着実に実行してきた賜物だと思っている。

――業界内ではコンプライアンス意識の欠如が問題視されている?

 やるべきこと、つまり正しいことをしっかりやる、という意識を常に持っている。そういった意味では、ケーズという会社は昔から何も変わっていない。