「浴槽に水をためる」防災の備えが問題視される理由「防災のためにお風呂に水を貯めておく」ことが論争の火種に?(写真はイメージです)

防災の中でも、争いの火種となっている一つに「風呂に水をためる」問題があります。万一に備え、風呂に水をためるのが正しい判断なのでしょうか。そこで今回はこの問題について、アウトドア流防災ガイド・あんどうりす氏が解説します。

 防災というのは、常々、多様な背景を持つ方をつなげる力があるのだなと感動することしきりなのですが、こと「お風呂に水をためるべきか」という問題については、逆に、争いの火種になっているという現状を目にします。読者のみなさまはこの問題にお気づきですか?今週はこれを検証します。

 1月17日が近づくと、阪神・淡路大震災の時の体験談でもあった「お風呂に水をためておきましょう」という情報が、いつもより多く流れてくるように感じます。しかし、田舎に帰省した際、親に「お風呂に水をためろと言われて本当に困った」という意見が多く出てくるのが、この時期でもあるのです。

 特に、子育て世代から若い世代にかけて、このような「困った」という声を訴える方が多いです。では、なぜお風呂に水をためたくないと思っているのでしょうか?

 まず、お風呂の水をためたほうがいいよという理由が、いまだに災害直後にトイレの水を流すために必要ということであれば、これは世代を問わず止めて欲しいと思います。詳しくはこちら。

■「間違っていませんか?災害直後、トイレに水を流すのはNGです!
災害時のトイレ問題15の最新事情 【前編】
」(2016年12月14日公開)
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2236

 配管が壊れている危険もあるので、今は、「緊急地震速報が鳴るような地震が起こったら、トイレの水は流さず災害用トイレを設置したほうがよい」というのが常識ですからお間違いなく!

 だとしても、お風呂だと水をためられる容量は200L前後。配管確認後のトイレの生活用水に使う場合、2Lペットボトル100本だなんてそうそう備蓄できませんから、お風呂に水をためる最大の利点は、その容量にあるといえます。