コイズミ照明は昨年4月、大阪市に新たにR&Dセンターを開設。LEDに特化した研究開発と実証実験を行いながら、省CO2と知的生産性向上の両立を目指している。

コイズミ照明R&Dセンターは、取り組みの先導性と中規模オフィスに対する波及効果への期待から、「平成27年度第2回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択された

 大阪市東成区の住宅地に立地する「コイズミ照明R&Dセンター」。緑化した階段状の南面バルコニーが特徴の研究開発拠点は、コイズミ照明の最新の照明手法や技術を発信する“ショールーム”でもある。

 建物中央の吹抜けや開閉式のトップライトによって、自然の光と気流を最大限に利用する構造になっており、各フロアの照明制御にはDALIシステム(欧州を中心に世界に広がる照明制御の国際規格)を導入。

 このシステムを軸に照明、空調、ブラインドを連携的に制御し、オフィスの快適性維持と省CO2の両立を実現している。

R&Dセンター自体が
革新性と生産性を向上させる
実証実験の現場

コイズミ照明 R&Dセンター長 谷垣正則専務取締役コイズミ照明
R&Dセンター長
谷垣正則専務取締役

 同センターで行われているのは、DALIシステムによって執務空間の色温度を時間帯ごとに穏やかに変化させ、自然光の変化に合わせた照明環境を実現することで、生体リズムの整調やストレス軽減などを図り、社員の働き方の革新性と生産性を向上させる実証実験である。

 社員の執務室は4、5、6階で、照明器具は各部署の働き方に合わせて同社の新製品を採用、快適な視環境創出を社員自らが確認する場になっている。

 例えば定型業務の生産管理や品質保証の部署では、フラットな光を創出する調光調色ベースライトや、直線ラインを意識したシームレスソリッドラインなど“面”と“線”の照明を配置。

 商品企画や開発設計など創造性が必要とされる部署や、出入りが多い営業の部署には、集中力が高まり、スポット的なオンオフがしやすい“点”の照明、調光調色ダウンライトを配置している。

 R&Dセンター長の谷垣正則専務取締役は、「基本となるのは、光の原点である太陽光を建物内で再現すること。いずれも電球色から昼白色まで色温度を思いのままに制御できるため、人間の体内時計に合わせ、脳を活性化して知的生産性を向上させる“あかり”の環境を演出することができます」と説明する。

時間による色温度変化 夕方になると自然光に合わせて色温度を下げるなど、明るさと光色を自動的にコントロールする。仕事の
集中力を高めながら、省エネ性と快適性を向上させるシステムだ夕方になると自然光に合わせて色温度を下げるなど、明るさと光色を自動的にコントロールする。仕事の集中力を高めながら、省エネ性と快適性を向上させるシステムだ

 さらに同センターの注目点は、DALIセンサーに連携する空調換気制御を開発し、導入していること。

 これは照明用の人感センサーを利用して空調換気までを制御するシステムで、大規模な中央監視盤ではなく、市販の空調集中コントローラーを応用しているのが特徴だ。

「これによって、従来は難しかった中小規模ビルにおける省エネ制御システムの導入が容易になりました」と谷垣センター長は普及促進の可能性を語る。

 創業300年、“あかり文化”の創造を目指すコイズミ照明は、LED普及とともに進化を続けている。

 

問い合わせ先
コイズミ照明株式会社
〒541-0051 大阪府大阪市中央区備後町3-3-7
URL:http://www.koizumi-lt.co.jp/