「一生懸命、指導しているけど、部下にやる気がないし、成果が上がらない。でも、あのマネジャーは部下に信頼されて、成果まできっちり上げている。なぜだろう」。そんな経験をしたことはないだろうか。そこには、やはり理由がある。部下に信頼され、成果もきちんと上げるマネジャーは、「部下から応援される技術」を持っているのだ。では、そればどんな技術なのか。そして、どうすれば身に付けることができるのか。マネジャーとして25年超にわたり国内外のさまざまなチームを率いてきた、元プルデンシャル米国本社シニア・バイス・プレジデントの八木昌実氏のマネジャー論をまとめた話題の新刊『マネジャーとして一番大切なこと』から、一部抜粋して紹介する。

強いマネジャーに必ず訪れる「限界」とは?

「強烈なリーダーシップでグイグイ引っ張っていく」
「リーダーが前面に立って、前に出て行く」

 日本ではリーダーというと、こうした「強いリーダー」「強いマネジャー」を真っ先にイメージするのではないでしょうか。

 しかし、強いマネジャーには弊害もあります。

 たしかに組織が小さなときは、強力なリーダーシップを発揮するリーダーが欠かせない。でも、組織がどんどん大きくなってくると、「振り向いたら誰もいなかった」なんてことが起こり得る。強いに越したことはないのかもしれませんが、強いだけでは人はついてきません。私はそんなマネジャーを数多く見てきました。

 逆に必要になるのが、必ずしも強いわけではないマネジャーです。むしろ部下から「私たちがしっかりして支えなければ」という意識が出てくる。そんなマネジャーです。私はそれを「応援されるマネジャー」と定義しています。

 応援されるのは、そのマネジャーがいつも、いかに部下に育ってもらうか、成長してもらうか、を考えているからです。早く自分以上の存在になってほしいと考える。そのために何ができるかを、常に意識しています。

 だから、まわりのメンバーが自ら成長する。自分たちから「あれをやろう」「これをやろう」と声が上がる。

 これこそが、組織に本当に必要なマネジャーだと私は考えています。