INTRODUCTION
なぜ、いま英語勉強法を書いたのか?

 数多くある英語勉強法の中で、本書を選んでいただきありがとうございます。
 なぜすでに多くの英語勉強法の本が存在するのに、このタイミングで新しい本を書こうと思ったのか。まずはそこからお話ししていきましょう。

英語を身につけないなんてもったいない

 多くの人の英語に対する思いは、次のような感じではないでしょうか?

「英語が大切なのはわかってる。でもどうすればいいかわからない……」
「何度か英語を身につけようとチャレンジしたけどダメだった……」
「コンプレックスなので、なるべく触れたくない分野なんだよな……」
「そもそも、英語なんて習得できないよ、いまさら……」

 私はビジネスパーソンの英語習得を支援する立場にいますが、さまざまな人が実際に英語を上達させるのをこの目で見ています。たとえばこんな人たちです。

・大学受験以来、英語にまったく触れてこなかった
・理数系出身で、英語が嫌いだった
・海外旅行も含めて、海外経験がまったくない
・いま現在、仕事で英語をまったく使っていない
・英会話スクールに通ったけれど成果が出ずあきらめた

 さまざまな理由で、英語を遠ざけたり、挫折したりした人は多いと思いますが、そういう方たちに私が声をかけるとしたら「もったいない」のひとことです。
 どんな状況にあっても、正しい方法で、真剣に集中して取り組めば、誰でも英語を習得することができるのです。

「スマホや通訳に頼ればいい」わけではない

 いまやスマホでも翻訳できるし、今後AIが発展していけば、自分が英語を習得していなくてもいいじゃないか、という意見もあります。また、通訳者や翻訳者など「英語のプロ」にお願いすればいいと思っている人も多いでしょう。
 たしかに、表面上のやりとりをするのであればスマホなどを使えばいいのかもしれません。しかし、気持ちやニュアンスを伝え、心と心でつながるためには、たとえたどたどしかったとしても自分で英語を使えたほうがより伝わります。
 AIや同時通訳者が24時間付き添ってくれたとしても外国人とは結婚できないでしょう。プライベートや仕事でも本当の友情や人間関係は築けません。
 結婚も仕事も、信頼関係がいちばん大切です。信頼関係とは自分の言葉で伝えて初めて築けるもの。機械や通訳者を介すると、それは仲介者の言葉になってしまいます。心を通わせるには、自分の言葉で伝えることが大切なのです。

英語はただの「ツール」ではない。最高の「資産」である

 英語に時間とお金を投資してもリターンを期待できない、という意見もありそうです。「英語に投資する時間があったら、他の得意なことに使いたい」。そういう人も多いと思います。人生のポートフォリオにおいて、英語に割く時間をなるべく増やさない、という人生戦略をとっているのでしょう。しかし、英語という資産への投資効果は絶大です。
 英語は「ツール」である、という考え方があります。しかし私はあまりしっくりきていません。「ツール」というと誰でも使いたいときに使える、というニュアンスがあります。しかし、英語は人が「身につける」ものであり、その人に属するもの。ツール、というわりには、誰もが使えるものではありません。「英語はツールだ」とは言いにくいのではないか、というのが私の考えです。
 では、英語は私たちにとって何なのか?私は「資産である」と思っています。英語は確実に私たちに利益をもたらしますし、体の内に溜まっていく資産です。
 英語力は、転職しても、独立しても、どんなことがあっても「自分」に帰属しています。しばらく英語を使わないと目減りはするかもしれませんが、本質的な英語力は大きく減ることはありません。
 私が言うまでもなく、英語ができるといいことはいっぱいあります。給料がアップする、世界中に友人をつくることができる、視野が広がる、自信が増す、などです。まさに好循環になるのです。
 また、英語は究極の自己啓発である、と思っています。
 英語を身につける過程、学ぶプロセス自体にも大きな意味があります。その証拠に英語を学んでいる人で後ろ向きな人は見たことがありません。ふだんの仕事にも前向きで、人生を良くしたいと願っている人ばかりです。逆に言えば、英語を身につけようと奮闘しているあいだは、つねに前向きになれる、ということも言えそうです。

英語を始めるのに年齢は関係ない

 英語をあきらめる言い訳としてよく聞くのが「年齢」です。
「もう40歳を過ぎているし……」「30代後半まで英語を身につける気はなかったし……」と、年齢を言い訳にしている人も多いでしょう。
 しかし、断言しますが、年齢は関係ありません。何歳になっても英語を習得しようという意志と、これからご紹介する勉強法をきちんと実践すれば、ちゃんとリターンはあります。
 私が主宰する英語プログラムの受講生の半分弱は40代です。そして、実は40代がもっとも学習の成果が出る年代なのです。それは「後がない」という思いがあるからです。大人になってから英語を学ぶには、集中力と本気度が必要です。30代後半を過ぎ、「最後のチャンスだ」と思って集中して取り組む人は成果が出ます。
 20代は先延ばしが可能なので「まだまだ時間がある」と思ってしまい、「他に楽な勉強法がないかな」などと迷ってしまうことがあります。意外と20代は続かない人も結構います。
 受講生には30代後半も多いですし、50代も少なくありません。年齢は関係ありません。どれだけ集中して、本気になれるか、が大切なのです。
 もちろん「英語を学ぶか、学ばないか」は自由です。ただ、英語を学ぶことは確実にあなたの資産になり、人生を充実させることができるということはお約束します。