先週の総括

 先週の日経平均株価は、前週末に開かれたG7の内容は材料視されず、先週末とほぼ変わらない1万2998円で取引が始まった。週央に発表があった米小売売上や日本の07年10-12月期のGDPがともに市場予想を上回ったため、1万3600円越えまで上昇。週末はFRBのバーナンキ議長が昨年に下方修正した2008年の米経済成長率見通しをさらに引き下げるとの発言を受け、米国株式が下落、日経平均株価も安く始まった。下げ幅は300円近くなったものの引けにかけ買い戻され、結局先週末比4.7%上昇の1万3622円で取引を終えた。

 規模別には大型株が上昇を牽引した。マザーズ指数も上昇。業種別には好決算を発表した海運が上昇率トップ。一方で米保険会社がサブプライム関連証券の損失懸念から大幅下落したため、連想から保険業が下落した。

今週の予報

  ゼネコン業界:
利益率悪化による業績低迷が続き「雨」

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 今週の日経平均株価は引き続き堅調な展開を予想する。米商務省が先週発表した1月の小売売上高は前月比0.3%の上昇となった。0.3%減を市場は予想していたようだがこれを上回った。現在の株式市場は景気後退懸念を織り込んだ水準だが、「懸念」が杞憂に終わるような経済指標が出始めている。経済指標に一喜一憂しながらも下値固めが進む展開を予想している。

 大手ゼネコン4社(大成・大林・清水・鹿島)の第3四半期までの決算は厳しい着地となった。実績は子会社で不動産分譲を手掛ける清水建設を除いた3社が2桁の経常減益だ。厳しい受注競争と資材価格など上昇が響いた。業界全体の受注は12月に底打ち感があるが、頼みの不動産事業にも手詰まり感が漂う。株価は下値模索を免れないであろう。

 日本建設業団体連合会が発表した12月の建設受注は前年比4.2%の増加となった。同受注は7月以降急落、10月は前年比27.1%減であった。11月まで連続5か月前年比マイナスであったため、12月は一息ついた形だ。これまでのマイナスは建築基準法改正の影響が大きい。特にマンション着工は9月に前年比44%減と過去最大の減少幅を記録している。

 ゼネコンはこれまで公共工事である土木事業で高い利益率(粗利益率は15%程度)を稼ぎ、それを原資に民間建築工事で激烈な競争を繰り返していた。1990年代は景気の落ち込みに際し公共工事の増発で支えようとするケイジンアン的な景気対策が採られたこともあり、代表銘柄である(1812)鹿島の株価は1993年から1996年の間に約2倍に株価が急騰している。しかし小泉内閣下では聖域であった公共工事にもメスが入り、ゼネコン各社の株価はPBR1倍割れまで叩き売られることとなった。

 その後日本全体のデフレ脱却期待から株価は急速に戻したが、結局は「受注価格競争」と「資材費・労務費の高騰」「海外不採算工事」の影響で業績はジリ貧だ。各社とも不動産開発事業に活路を求めているが、不動産価格には不透明感漂う。今期がピークとなる可能性が高い。来期以降は再び本業の悪化がクローズアップされてくると予想する。受注価格競争の根源は、建設投資の縮小に比べ建設業者数の減少が追いついていない点だ。今後の注目点は業界内淘汰による受注価格の安定となろう。

今回のポイント(まとめ)

 ゼネコン各社の業績は、競争激化による受注価格競争と、資材費・労務費の高止まりにより低迷を余儀なくされている。頼みの不動産開発事業も今期がピークだろう。今後の注目点は業界淘汰による受注価格の安定だ。