インテルがスポーツビジネスに<br />力を入れる理由「インテル・キャピタル・グローバルサミット2018」に、NBA名誉コミッショナーのデビッド・スターン氏が登壇(右)、左はインテル・スポーツ・グループのグローバル事業開発担当副社長のハワード・ライト氏

インテル・キャピタルは1年間で
スポーツ系ベンチャーに15憶ドル投資

「インテル」と「スポーツ」という組み合わせは、意外だろうか。

 インテルは、去る5月8日から10日までカリフォルニアで開かれた「インテル・キャピタル・グローバルサミット2018」で、NBA(全米プロ・バスケットボール協会)との「イマージング・テクノロジー・イニシアティブ」を発表した。これは、今後発展が期待できるスポーツ・テックとエンターテインメント分野に、数年にわたって共同で投資を行うというものだ。

 こうしたスポーツ・テックには、スタジアムでの観戦の方法、テレビやオンラインでの中継の体験、ゲームの判定、選手の成績記録、スポーツ・トレーニング、ファン・ベースとのコミュニケーション方法など、スポーツにまつわる幅広い事項を変革するイノベーションが含まれる。

 インテルとNBAは、そうした分野で興味深いテクノロジーを開発するスタートアップなどを発掘し、NBAスポーツのあり方を変えていこうというわけだ。

 インテル・キャピタルの会長兼インテル副社長であるウェンデル・ブルックス氏は、「2017年にスポーツ分野でのベンチャー投資は総額15億ドルになっている。NBAとのイニシャティブは、スポーツとエンターテインメントに次の波を起こすような会社へ、両者が持つ人材や資金を注ぎ込む」と説明する。

「スポーツはデータ」

 実は、インテルはもう数年前からスポーツにかなり投資を行ってきた。その背後にあるのは、「スポーツはデータだ」という考えである。

 様々なものがインターネットで置換されてきた中で、スポーツは依然として人々の関心の的であり続けている。スタジアムに集まってリアルタイムで観戦することの魅力は消えず、またメジャー・ゲームの日には友人たちと集まって自宅でテレビ観戦するのは、今でも全米の家庭で続けられている習慣だ。大スクリーンで試合中継を見せるスポーツバーは、どこの街でも人気だし、地元のリトルリーグや中高校のスポーツも、アメリカ国民には重要なイベントである。

 アメリカでは、2000~2014年の間にフットボール、野球、バスケットボール、ホッケーの45のスタジアムが改築されている。また多くのスタジアムが都市部に移動し、再開発の目玉にもなっている。スタジアムという場所が、人々にとってどれほど大切なのかがわかる。

 またスポーツは、データを生み出す市場でもある。試合記録だけでなく、観客の動向、選手の成績などを統合して新たなスポーツ体験が生まれるし、またテクノロジーによって全く新しい方法でスポーツが楽しめるようになっている。