「大人の事情」で導入される会計ソフトが経理部をダメにする経理部内にて日々活用されている会計ソフト。しかし、現状のソフトで、実務担当者の業務の生産性が必ずしも最大限に効率化されているとは限らない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

全社生産性アップのカギを握る
経理部の会計ソフトを見直せ

 経理部内にて日々活用されている会計ソフト。おそらく、使い方や機能性を熟知しているのは、スタッフから主任クラスまでであり、階層が上位の人は自社で導入しているシステムの仕様について詳細までご存じないケースがほとんどでしょう。

 よって、定期的に当たり前のように配布される月次試算表や四半期ごとの決算といった経営資料について、一応は目を通すものの、「もっとこんな資料は用意できないのか」といった意見・要望を出すモチベーションは低いでしょうし、そもそもそうした場もないのが大方だと拝察します。

 しかしながら、時代が移り変われば自社の顧客層が求めるものやマーケットにも変化が生じ、それに応じて商品・サービスの改変、価格改定を迫られるシーンは必ず訪れます。そのような中で経営データの源が入出力される会計ソフトについても、同様に今一度機能を再考してフルに活かしたり、入れ替えなどの刷新をしたりといった策を講ずれば、月次資料の早期化や効果的な資料作成が実現し、ひいては経営改善・改革にも功を奏する場面があるはずです。

 そこで今回は会計ソフトに焦点を絞り、企業内の幅広い階層の方がどのように関われば、それを自社にとって有益なツールにすることができるのかを、考えましょう。

 まず最低減必要なのは、会計ソフトの導入により、経理実務担当者の業務の生産性が図られているか否かを確認することです。中でもデータ取り込み機能は活用されているでしょうか。たとえば、人事部が担う社員らの給与計算や営業部が担う顧客への請求書発行に係る各々のデータを、会計ソフトに取り込み、売り上げ・人件費関連の仕訳データを自動作成する方法はかなり定着化しています。

 こうした方法で生産性はかなり上がっているはずですが、実態はいかがなものでしょう。もしも、本稿を読まれている方が経理部門のマネジャークラスであり、現況を把握していないのであれば、早急に確認する必要があります。