記録漏れで宙に浮いていた年金約5000万件のうち、1975万件の名寄せ作業が難航し、政権公約だった3月までの名寄せ完了は困難だという発表があった。持ち主を特定できた記録は1100万件しかなく、しかもその中に受給者分が300万件ほど入っていて、既に年金を貰っている人の受給額ミスの可能性もあるという。

 舛添要一厚生労働相は記者会見で年度内の名寄せ完了は困難であるとついに認めた。だが、こういう事態が起こるであろうことは、誰しも予想できたことだ。印象論としても問題は大きそうだったし、調べると「とても無理」ということが分かりそうな問題であった。しかし、参院選の直前に記録漏れ5000万件の話が出て、来年3月までに全て解決すると、当時の安倍首相が公約として言い放ってしまった。組織内の問題としては、トップだった安倍氏の問題だが、舛添氏も当時参院選の自民党の顔としてこれに与していたので、責任がないとは言えない。

 原因は入力ミスに台帳廃棄などずさんな仕事のオンパレードだが、後で受給資格者が申し立てをしてきた時点で調べればよいという、申請主義に乗って無責任な行動が取られた側面が大きい。現場の担当者からすれば、どうせ将来の問題だし、自分がそのときに面倒な思いをするわけでもなかろうということで、問題を先送りしてきたのであろう。

 さらに官僚の管理者たる政治家としては、問題にまだ蓋をしたままでおきたいという現場の役人たちの事なかれ意識を疑わなければいけなかった。だが与党は選挙で勝ちたいという焦りから、結果として重大な公約違反を犯すことになってしまった。

舛添氏が今後も厚労相を
続けていく難しさ

 今週発表された世論調査では、内閣支持率はどのメディアにおいても軒並み10%以上低下している。支持率は3割を切ると危険だと言われるが、現在3割台に落ち込んだ支持率を見ると、改めて年金問題の影響の大きさがわかる。