個人事業主・士業が永続的な集客を実現するには、自らの価値を知り、それを広く世の中に認知させることが重要だ。「パーソナルブランディング」とは、自分自身をブランド化し、顧客にとって価値のある存在と認識させること。営業戦略に悩む個人事業主・士業に、新規顧客開拓の有効な手法として注目を集めている。

個人事業主・士業と消費者とのマッチングを支援する専門家WEBガイド「マイベストプロ」を展開するパーソナルブランディングのプロ・河本扶美子氏が、豊富な経験で得た事例を通して、その効果から構築までのステップを説く。

パーソナルブランド構築で
永続的に仕事を得るプロになる

 実力はあっても知名度がなくては仕事を得ることはできません。そこで多くの人は、身の丈以上の広告宣伝に力を入れたり、あるいは提供するサービスの値段を、限界まで下げたりといった行動に向かいがちです。そうした結果、かさんだ宣伝費や価格を下げた分を何とかしようと、自分の得意ではない領域まで広げて、無理な仕事を受けてしまうことになります。仕事は増えても利益率は下がるばかり…。これが士業や小規模の事業主にはつきものの負のループです。こうした悩みを抱える事業主にお勧めしたいのがパーソナルブランドの構築です。

 パーソナルブランドとは、事業の大小を問わず、顧客に「あなたでなくてはならない」と思ってもらうための共通言語です。自分を選んでもらうためには、自分の判断だけではなく周りからも認識されている「本当の自分自身の強み」を知り、その強みを明確に伝えることが重要です。そうすれば、自分が得意な仕事のみが入ってきて、高い水準での成果を顧客に提供できることになります。たとえその顧客との関係あるいはその仕事が終了したとしても、その成果が直接的にも間接的にも認知度に貢献します。自分の強みに直結する認知度が高まれば、またそうした仕事が舞い込んでくることになります。

 このプロセスの最も重要な点、つまり、自分の本当の強みを知り、自分の強みを信頼性とともに明確に伝えることこそがパーソナルブランドであり、パーソナルブランドの構築とは、士業や個人事業主における負のループを抜け出し、成長のループを生み出す効果的なプロセスなのです。大企業における戦略上のキーワードと捉えられがちな「ブランド」ですが、グローバル化が進み、そしてインターネットの普及により、ますます情報化社会が進む昨今、差別化が難しい小さな企業や個人事業主にこそ必要なものといえます。

パーソナルブランドの味方、インターネット

 プロである以上、「あなたの強みは何ですか」と問われたら何らかの答えを示すことができるはずです。しかしそれだけではパーソナルブランドとはいえません。「この件を相談するなら○○さん」「この分野を頼むなら○○さん以外にいない」と第三者からいわれるようになってはじめてパーソナルブランドが確立したといえるのです。

 インターネットの普及はパーソナルブランドの確立に非常に有利に作用します。インターネット上に事業主も個人も自分のメディアを持つことができるようになりました。事業主は費用をかけずに営業情報を発信できますし、知名度がなくても存在を知ってもらうことができます。一方で消費者は、一般的なニーズとしては小さい要求でも、妥協することなく、その要求を満たしてくれるものをネット上で発見できる可能性が非常に高くなりました。つまり、小さなマーケットであってもインターネット上で自分のパーソナルブランドを構築することで、ビジネスが成立する時代なのです。

 さて、パーソナルブランドの構築は差別化がポイントであるため、その構築の形は百人百様です。私はパーソナルブランドを構築したことでビジネスに成功した人たちをたくさん見てきました。この連載では、そんな成功例を取り上げながらパーソナルブランド構築のポイントを考えてみたいと思います。