グーグルは6月27日に、タブレット型端末をはじめとする3種類のハードを発売することを発表しました。マイクロソフトも同様の端末の発売を発表したこともあり、タブレット市場への参入の増加という面ばかりが注目されていますが、発表を見ていると、グーグルが進めつつあるいくつかの新たな進化にも注目すべきではないかと思います。

ハード起点の垂直統合へ

 アップルが圧倒的なシェアを持つタブレット市場に、グーグルやマイクロソフトといったサービス/ソフト企業の巨人が新たに参入するということは、ネット・ビジネスの競争のパラダイムが、それまでのプラットフォーム中心からプラットフォーム+ハードにシフトしつつあることを表しています。

 ネットへの入り口がパソコンというコモディティであったときは、ハードの重要性は皆無に等しかったと言えます。しかし、スマホやタブレットという持ち運びできる端末が普及し、それがネットへの入り口として主要な地位を占めるに従い、ネット上では、魅力あるハードを起点にした垂直統合型モデル(魅力あるハード→そこに用意されたプラットフォーム→そこのオンラインストアで購入できるコンテンツ)間での競争が激しくなっているのです。

 そこでは、ハード上で利用可能なアプリやコンテンツもさることながら、ハード自体のデザインや機能、ハードとソフトの一体的設計といった要素の重要性が一気に高まったと言えます。

 そこでグーグルはネクサス7というタブレットの販売を始めるのですが、まず注目すべきは約200ドルというその価格です。アマゾンのキンドルとほぼ同水準なのですが、キンドルはアマゾンで購入した書籍などのコンテンツを楽しむための専用端末であり、500ドル以上するiPadより分厚いにもかかわらず、カメラやGPSなどの機能もないのに対し、ネクサス7は薄く、iPadと同じレベルの機能を備えているのです。

 実際、現段階で米国メディアが実際に使っての評価を見ていると、アンドロイド上のオンラインストア(グーグル・プレイ)でのアプリやコンテンツの充実度こそアップルやアマゾンよりかなり見劣りするものの、ハードの機能やハードとソフトとの一体性などは高く評価されています。