新体制内定から今に至る約5カ月間、資本提携先として名乗りを上げる各社をよそに沈黙を守るオリンパスは今、何を考えているのか。

オリンパス社長 笹 宏行<br />資本提携の考え方は終始一貫<br />“花婿”候補はまだ横一列Photo by Toshiaki Usami

──落ち込んだ自己資本比率の回復が急務といわれて久しい。まだ資本政策は決まらないのか。

 まだ決まっていない。

──前提や条件が変化したのか。

 終始一貫している。当社の自己資本は比率、金額ともに低い。5年後に自己資本比率30%を目指しているが、稼ぎ頭の医療事業を持っていて、キャッシュは手元にある。時間はかかるが自力で達成できる範囲だ。ただ、多くのリスクに直面している今このときに、4.6%という自己資本比率でいいのかということだ。

 例えば為替リスク。1ユーロ=100円、1ドル=80円で計画を立てたが、すさまじい円高だ。海外売上高比率も高く、資産も海外に多いため影響は大きい。加えて訴訟リスクもある。キャッシュアウトを迫られるかもしれない。

 困るのは“今”だ。何らかの対策を考えざるを得ず、その手段を検討しているということだ。

──困るのは“今”なのに、なかなか決まらないのはなぜなのか。

 相手があることだからだ。普通は頭を下げて回って、いろいろな条件を出されるが、今回の資本提携先探しは、多くの会社から話をもらえている。極めて幸せ、かつ特異なケースだ。一つ一つ吟味と調整が必要で、時間はそれなりにかかってしまう。

──テルモが経営統合を提案するなど候補先は必死だが、会社の絞り込みもまだなのか。

 まだ横一列。ここにしますという話はしていない。