懸念材料が市場でクローズアップされ、株価水準が下がってくると、割安株投資が注目される。割安株投資の代表といえばPBR(株価純資産倍率)とPER(株価収益率)投資だ。

 PBRは1倍未満ならば、株価が解散価値を下回って売られており割安感が強いと見る。

 ただ、足元はPBR投資の効果が高いとは言いがたい。PBR投資が効果を発揮する代表的な場面は、信用不安などで株価が売り込まれた後のリバウンド相場だ。

 現在は、投資家が景気や将来の企業収益の行方に注目を集めている場面である。株式の評価に関しても資産価値より収益面での価値が重視されるだろう。

 そうなればもう1つのPERが注目されるのか。PERは1株当たりの利益(EPS)を比較し、何倍まで買われているかを見る指標だ。企業業績の行方に関心が強まる場面では注目度が高まる。

 しかし、景気が立ち上がる初期には投資家は企業の成長に対して特に意識を強めるため、増益率が注目される。したがってPERが低くても足元の業績回復が鈍い企業への投資は注意が必要だろう。

 むしろPERがそれほど低くなくても、増益率が高く、将来、拡大が見込まれる利益と比較したPERで割安な企業は魅力があるだろう。こうした企業を選別する手法にPFER(Price-Future Earnings Ratio)がある。

 PFERは米国の学者が1985年に開発した指標だ。%で表記される増益率を100で割って、PERと掛けた後に1を足す。これの自然対数を取る。この値を分子とする一方、分母は%で表記の増益率を100で割って1を足して、自然対数を取ったものだ。

 なにやら複雑な印象もあるが、簡単にいえば、足元の増益が将来も続くと仮定した場合、EPSは毎年増えていくが、株価はEPSの何年先まで買われているかを見るものだ。