iPod touchなどの出現で、移動時間に映像を楽しむ人が増えてきた。そんな中、ニコンは動画や音楽を再生でき、インターネットにも接続できるヘッドホン型映像再生装置、「UP(ユー・ピー)」の予約販売を開始した。発売は12月中旬となる。

 ヘッドホン型の映像再生装置はすでに発売されているが、ディスプレイ、ヘッドホン、モバイルAVプレーヤー、Wi-Fi通信機能などの機能が一体化したのはニコンUPが初めて。一体型なので、映像や音楽をいつでも気軽に楽しめる点が特徴だ。

 ニコン・広報によると、「インターネット上での反響が予想以上なので驚いている」とのこと。爆発的に予約が殺到しているわけではないが、問い合わせや予約の数は上々のようだ。

 光学系では世界トップクラスの技術を誇るニコンだけあり、レンズはこの機種のため独自開発したものを搭載。画質についても、「クリアで見やすく、高画質なディスプレイ」(広報)と、自信を見せる。

 AVプレーヤーが内蔵されているので、あらかじめ観たいDVDをインポートしておけば、コードレスで、しかもハンズフリーで鑑賞できる。Wi-Fi通信機能を利用してインターネットに接続することも可能。無線LANが利用できるカフェなどに寄れば、外出先でもコンテンツをダウンロードすることができる。もちろん、ウェブサイトの閲覧も可能だ(Flashなど一部対応できないものもある)。

 ただし、大きさは音楽鑑賞用のヘッドホンと同等で、バッグに入れるには若干大きい。重量は約385gと軽量だが、iPod touch の115gに比べるとまだ重い。より軽量小型化が必要だと感じる人もいるかもしれない。

ブラザー工業 メガネ型網膜走査ディスプレイ
ブラザー工業 メガネ型網膜走査ディスプレイ

 このところ、携帯型ディスプレイの技術は進化を遂げている。今年4月、ブラザー工業はメガネ型網膜走査ディスプレイの試作機開発に成功した。2010年までに商品化する方向。ヘッドホン型に比べてより軽量でコンパクトサイズである。

 「現在はビジネスユースの用途を想定しています。例えば、サーバーメンテナンス時に、ハンズフリーで回路図の確認ができるので、作業効率が上がるといったことが期待できます。将来的には、エンターテインメント用として、映像を楽しむ用途も充分にありえます」(ブラザー工業・広報IRグループ)

 数年後、満員電車内でヘッドフォン型やメガネ型ディスプレイを装着した姿が当たり前になるかもしれない。余白時間を過ごす選択肢が増えるのは、多忙なビジネスパーソンにとっても歓迎すべき進歩といえそうだ。

(江口陽子)