先週の総括

 先週の日経平均株価は、前週の米国株式の大幅安を受けて300円以上安い1万3412円でスタートした。その後も円高が進み103円台に突入したことや、発表された法人企業統計で設備投資額が前年同期比7.7%減少したことを嫌気し、週央には1万3000円を割り込んだ。押し目買いが入り一旦は1万3000円台を回復したものの、米国で住宅ローン会社の債務不履行など信用不安が再燃し、週末に急落。結局、日経平均株価は前週末より6%安い1万2782円で取引を終えた。

 規模別には大型株が下げの主役となった。新興市場もマザーズ指数は前週末比8.7%の大幅下落となった。業種別には原油高を受けて鉱業が唯一の前週末比プラスとなったが、新日鉄が来期減益になりそうだと発表し、鉄鋼業が前週末比12.4%と大きく下落した。

今週の予報

トヨタ系自動車部品会社:
トヨタ海外生産拡大の恩恵を受け「晴」

晴

 今週の日経平均株価は、揉み合いを予想する。相変わらず経済統計に一喜一憂する展開が続いているが、米国の金融緩和の影響は未だ現れておらず、引き続き弱めの経済指標が出やすいため上値は重そうだ。1月22日につけた年初来安値の1万2573円が意識される水準だが、日経平均の予想PERは既に14倍まで低下し、来期企業業績の20%程度の減益を織り込んだ形だ。ここから売り込むには30%以上の減益を想定する必要があり、限界があろう。

 トヨタ系自動車部品主要5社(デンソー・豊田自動織機・アイシン精機・東海理化・小糸製作所)の株価が堅調だ。昨年8月のサブプライムショックからの株価推移を追うと、TOPIXが20%程度下落しているにもかかわらず、主要5社の単純平均騰落率はなんと5%程度の下落にとどまっている。もともとPER(株価収益率)が13倍前後と低いうえに、来期業績も増益を維持できそうだ。円高等株式市場全体に不透明感の強い中、注目できる業種だ。特にAT(オートマチックトランスミッション)事業が投資回収期に入って来期も10%程度の増益が期待できる(7259)アイシン精機に注目している。

 2008年3月期については、各社20%前後の増益率に落ち着きそうだ。総じてトヨタ自動車の海外生産拡大と、先行投資コストの低下が業績に寄与している。特にアイシン精機はトヨタ向け以外にATが売上げ拡大した他、6速ATの採算改善も重なり40%近い大幅増益を達成する勢いである。第3四半期時点で通期業績予想を上方修正したが、子会社のアイシンAWの業績予想が保守的だ。再上方修正の可能性も高い。

 自動車部品業種は一般的にPER(株価収益率)が低めに評価される傾向がある。完成車メーカーから恒常的に値引き要求を受けるため、増益率・利益率ともに上昇に限界があると見られるためだ。最大手のデンソーでも現在の会社予想連結PERは10倍から15倍の評価であり、市場全体よりも3倍から5倍程度ディスカウントされることが多い。逆に言えば期待値が低い分、下値抵抗力は強い。トヨタ自動車の株価が2007年高値から直近安値まで40%強下落した一方で、デンソーは28%の下落にとどまっている。

 円高や米国の景気後退の懸念を受け、完成車メーカーおよび部品メーカーともに来期以降の業績に不透明感が強い。こういった状況下では完成車メーカーではなく、部品会社の株を保有するのが投資のコツだ。PERが低いうえに、納入先が確保されているため減益幅が限定的だからである。逆に業界環境が良い時には、完成車メーカーを保有すると投資効率が高い。業績変化率が大きいためだ。個別銘柄では、来期も10%程度の増益を維持できそうな(7259)アイシン精機が面白いであろう。

今回のポイント(まとめ)

 トヨタ系自動車部品主要5社の株価は、もともとPERが低い上にトヨタ自動車海外生産拡大の恩恵を受けてわずかな下落率にとどまっている。円高等外部環境に不透明感強いが、来期10%程度の増益が期待できるアイシン精機に注目している。