週刊ダイヤモンド 保険商品は、ほんとうに複雑です。毎回、商品に関する記事を書くたびに、頭を抱えてため息を付きます。そもそも、「自分が死んだらいくら必要か」なんて、考えたくありませんよね。

 だからこそ、保険に詳しいファイナンシャルプランナーはさまざまなメディアに引っ張りダコです。彼ら、彼女らは、自分ではどんな保険に入っているのか、そんな単純な疑問から、アンケートを行いました。特定の保険会社と親しくなく、消費者に人気のある方々に聞きました。独立系の有力代理店の方々も含め、計14人です。

 その結果を見て、しばしアゼン…。大手生保の商品が、ほとんどなかったからです。「評判悪いだろうなぁ」とは思っていましたが、まさかここまでとは。

 なぜ大手生保の商品が良くないのか。それはパッと見ではわかりません。そもそも分らないように複雑につくられているんです。そこらへんの事情は、特集内でじっくり解説しています。

 それでも散見された大手の商品は、多くが10年ほどまえの利回りの高い時代の“お宝保険”でした。つまり、専門家たちは10年前はもっと大手生保の商品に入っていたのです。そして、その後の規制緩和や新規参入で、より良い、より安い保険が出たため、“お宝保険”以外は乗り換えたわけです。彼らに乗り換えを決意させた商品は、多くがカタカナ生保や損保系生保などの新規参入生保だったのです。その一部は誌面でご紹介してますので、ぜひご参考に。大半は月の保険料が1万円未満の商品です。

 しかし、それだけ専門家に評判の悪い商品を、何十万件も売りまくっている大手生保の営業力も大したものです。皮肉ではありません。かくいう私も、悪評高い大手生保の「アカウント型」保険に入っていますから。良くないと分っていても、あのおばちゃんの顔を思い浮かべると、解約できないんです…。

 そんな大手生保の営業職員体制も、今後は変わっていかざるを得ません。多様化する販売チャネルの実態は、特集記事をご覧ください。

 さて、死亡保障やがん保険など4つのジャンルごとに、プロが「入りたい」として薦めている保険は、どれも一考の価値がある商品です。数百数十に及ぶだろう多数の商品のなかから、5人、10人という多くの専門家が一致して薦めているわけですから、ぜひ「保険のムダ」を削る際の参考にしてください。ほとんどは、商品開発などの企業努力によって価格を下げた割安な商品です。

 なお、乗り換えの際は、「売り手の都合」に乗せられないように、要注意です。一線の営業マンが「保険セールスのウラ側」を解説してくれたので、ぜひ一読を。彼の薦める「買い手側のテクニック」は、目からウロコの素晴らしい手法。ぜひ活用して欲しいものです。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 倉田幸信)