オリンパスへの経営統合案を合意前に公表する異例の手法で、注目を集めた医療機器メーカーのテルモ。その真意はどこにあるのか。

テルモ社長 新宅祐太郎<br />オリンパスと一つになれば<br />世界の五指が見えてくるPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──なぜこのタイミングで合意前の経営統合案を公表したのか。

 経営統合の案は昨年末、前経営陣のころからオリンパスへ提案してきたものだ。

 オリンパスの資本提携先について、いろいろな報道があり、どうなっているか本当にわからない。その中で、オリンパスの社員の方も含めて、テルモの提案を多くの人に知ってほしかった。そして、いろんな案をオープンに検討してほしいという想いがあった。

 また、オリンパスには新しく社外取締役も入り、提携先を選ぶに当たって経営陣の中での合意形成が重要性を増していると考えた。そのため、社外取締役と監査役には公表した情報以外に、今回の経営統合案の背景や効果、想いをつづった手紙を送った。

──その手紙の内容とは、どのようなものか。

 まず、日本では医療機器の貿易収支が、約6000億円もの莫大な赤字だという問題意識がある。特にテルモが得意とする治療機器の分野では、66%を輸入に頼っており、25%の診断機器と比べて非常に高い。

 そして、世界の医療機器メーカーを売上高の順に並べてみると、日本メーカーはトップ10圏外。しかし、オリンパスとテルモが一つになれば、5位以上を狙える企業になれる。世界の医療産業をリードする、日本発の企業になりたい。