「近いうち」解散というので、永田町は次期総選挙に向け合従連衡の動きがある。中でも台風の目は、橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」である。

 安倍晋三元首相が、渡辺喜美みんなの党代表が、そのほかにも国会議員が橋下市長と会ったというだけで、ニュースになっている。小沢一郎氏の新党、大村秀章愛知県知事が主導する政治団体らも橋下氏に秋波を送っている。また、石原慎太郎東京都知事の新党構想の動きも浮かんでいる。これらは「近いうち」解散をにらんだものだ。

維新の会のセンターピンは
消費税の地方税化

 こうした政局の動きと並行して、大阪維新の会では政策(八策)の取りまとめを行っている。政策の基本は一致しなくては連携・協力はないというスタンスだ。その中で、橋下市長が、改革のセンターピンとして位置づけているものとして、地方分権、その具体策として消費税の地方税化がある。そこで、今回は次期総選挙の争点となる消費税の地方税化を取り上げてみよう。

 自民党の谷垣禎一総裁は18日、大阪維新の会の八策に盛り込まれた地方交付税の廃止について「交付税が駄目だと言うなら(それに代わる自治体間の)財政調整の方法を考えないといけない」と語った。これに対し、橋下市長はツイッターで、現行の地方交付税制度には国が収支差補てん(赤字補てん)を行うという本質的な問題点があることを指摘した上で、財政調整を「地方に任せれば良い」と言い切った。

 地方交付税の廃止と消費税の地方税化は、鏡の裏表の関係である。各地方で徴収されている消費税を国が徴収してそれを地方交付税として国が地方に配分するか、消費税は「地産地消」として国が吸い上げずに、その代わり地方交付税をなくするのと、どちらを選ぶかという話だ。

 今の制度のように消費税の国税化・地方交付税の存続セットは、中央集権思想で国が制度を作るという谷垣総裁の考えにつながり、消費税の地方税化・地方交付税の廃止は地方分権思想で、地方がやればいいという橋下市長の考えになる。税金に関する国と地方の「水争い」の攻防とみることもできるが、中央集権か地方分権かという価値観の相違が根本にある。