企業と個人が互いに成長できる関係づくりについて研究を行うキャリアアセットマネジは、神戸大学大学院経営学研究科で組織論を専攻し、人的資源管理に携わる伊達洋駆氏とともに“エンプロイアビリティ(雇用され得る力)”の実証を伴う開発を行っている。このほど同社と伊達氏は、組織に貢献する人材力の研究を目的に複数企業の人事担当者への取材を実施した。本連載では、こうした取材結果に基づいて実践的かつ効果的な人材確保と養成のための方法論に関する伊達氏の考察を展開していく。

 

伊達洋駆 だて・ようく
神戸大学大学院経営学研究科所属。産学連携をコーディネートするリエゾン組織、株式会社ビジネスリサーチラボ取締役

終身雇用制度が事実上崩壊し、働き方が多様になるなか、企業主導で、社員ひとり一人のキャリアをデザインする取り組みが一般的となりつつある。社員が自らの可能性を広げつつ、組織の中で実績を積み、人と組織が相互に成長していけるように――。

しかし、そうした企業の狙いとは別のベクトルで、“キャリアデザイン”が解釈されている向きも社員側にはある。今回は“キャリアデザイン”を人材開発の手段として適切に活用し、“人材の資源化”を実現するためのポイントについて、伊達氏が語る。

 

キャリアデザインは誰のため?

 下のグラフは、ダイヤモンド・オンラインのユーザーであるビジネスパーソン約300人に“キャリアデザイン”に対するイメージについて質問した結果です。約4割の人が、キャリアデザインは「(社員が)給与や社会的地位を高めるために働き方や職場選びを行うこと」と答えています。

 また、企業への取材を行った結果としても、企業は基本的には個人の意思を尊重することで、より働く意欲が高まる職場環境を整えるという点に、キャリアデザインの目的を置いているケースが多いようです。ただし、企業の人事施策である以上、個人の幸せにのみ軸を置くことはできず、「経営にインパクトを残す人材を育てる」という大きな前提があります。