百貨店の店舗閉鎖が全国的に広がっている。背景には、2009年まで12年連続で売上高の前年比割れが続く市場の縮小がある。

 セブン&アイ・ホールディングスは、西武有楽町店の年内閉鎖を決めた。1984年の開業以来赤字が続き、売上高はピークの半分、業績改善が見込めないと判断した。

 エイチ・ツー・オー リテイリングは、今秋に京都市内の四条河原町阪急を閉鎖する。売り場面積8900平方メートルと小さく、04年度以降赤字が続く。今期売上高は50億円を割る見通し。阪急百貨店が業績不振を理由に店舗閉鎖に踏み切るのは初めてだ。

 地方百貨店の実情は、さらに厳しい。

 神奈川県を地盤とするさいか屋は、私的整理である事業再生ADRの手続き成立を受けた。

 さいか屋の10年2月期業績見通しは、売上高は前期比17・5%減の553億円、営業損益は2400万円の赤字、当期損益は112億円の赤字。73億円の債務超過で、有利子負債は256億円に上るが、金融機関による債権放棄は26億円、債務の株式化は7億円にすぎない。

 法的整理でもっと大幅に債権カットを求める方法もあるはずだが、個人客相手の百貨店では、法的整理はイメージの悪化で本業に大きな影響を及ぼす。また、「取引先の数が多く、商品を確保するうえでも法的整理はできなかった」(岡本康英・さいか屋社長)という。

 川崎店の売却(営業は賃貸で継続)や、横須賀店大通館の閉鎖で経営の立て直しを図るが、前途は多難だ。

 また、石川県を拠点とする大和は、7店ある百貨店のうち4店の閉鎖を決めた。

 市場縮小の流れが止まらないなか、百貨店は規模の大小を問わず、生き残りをかけて、赤字事業の廃止など“止血”作業が続く。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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