ヤマダ電機のひとり勝ち状態が続く家電量販店市場で、競合他社はいかなる生き残り戦略を描いているのか。各社トップに今後のビジョンを聞いた。第1回は、業界2位エディオンの久保允誉社長。(聞き手・文/『週刊ダイヤモンド』編集部 新井美江子、片田江康男)

エディオン 久保允誉社長
エディオン 久保允誉(くぼ まさたか)社長   Photo by T.Noda/REAL

――人口減が進み小売業は縮小産業だ。家電量販市場の先行きをどう見ているか。

 少子化はこの業界にとってマイナスになるのではないかという懸念は確かにある。しかし、逆にシルバーや団塊の世代の需要はまだ膨らんでくるはずで、それに対する商品がこれからどんどん出てくると思う。

――市場はまだ拡大余地がある?

 大きくはならないが、今の規模は十分維持できる市場であると思っている。たとえば、ここ数年冷蔵庫は省エネ・エコ商品が数多く市場に投入された。しかし、これらはほとんどが450リットル以上のものだ。お年寄りにはこんなに大きなものはいらないはず。お年寄りにとって使い勝手のよい250~300リットルクラスの省エネ商品はない。これからは、それぞれの世代に合った商品の需要が増えてくるはずだ。

 また、携帯型ゲーム機など、「楽しむ」ことに目を向けた商品も今後は増えてくるだろう。今までも家電業界は「ポスト・ビデオ」、「ポスト・テレビ」などと言われて来たように、新しい商品、新しいカテゴリーの商品を開発し、市場が拡大してきた。そういう意味で、今後も楽しみな業界であるし、そのような業界に身を置いている事は幸運なことでもあると思っている。

――家電量販店は価格競争が最も激しい業界の一つだ。いかに顧客の支持をえるのか。

 まず、理念に基づいて商売をしていくことを第一に考えている。われわれは“商品を売らない”という理念を持っている。小売業で“商品を売らない”なんておかしな話に聞こえるかもしれないが、“商品の機能と価値を売る”という意識でお客様に接しているということだ。