QE3での金利上昇は定石通り

 筆者は今年9月のテーマとして、3つのポイント、(1)「金融緩和オリンピック」、(2)「世界経済の変調」、(3)「世界の政局化」を挙げて議論してきた。

 図表1は、日米の10年国債金利の推移である。過去5年間の債券市場のバイオリズムは低金利に向かうなか、米国金融緩和の断続的カンフル剤投与で一時的な上昇を繰り返すものだった。

 2009年実施の米国FRBのQE1、2010年のQE2と、金融面のカンフル剤投入への催促相場で長期金利が低下し、実際に金融緩和の実施、カンフル剤投入で金利反転上昇が繰り返された。

 9月13日のFOMCで決められたQE3でも、実施に至るまでは金融緩和が期待されて長期金利の低下が続いたが、現実に実施が決まったことで反動が生じた。過去のQE1、QE2で繰り返されたように、今回も一定期間の長期金利上昇を想定する必要がある。

金融緩和オリンピック VS 世界経済“変調”<br />輸出連鎖の「新型感染」に警戒<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

9月は「金融緩和オリンピック」

 2012年9月は、日米欧の中央銀行が同時に金融緩和のかつてない技を競い合う「金融緩和オリンピック」だった。まず、開幕は6日のECBで、南欧国債も含め国債を限度なく購入することに道を開くものだった。

 次いで13日のFRBのQE3は、2013年以降の景気見通し予想を上方修正しつつも時間軸を伸ばしてきた。それはFRBが「景気回復が強まっても、相当の期間にわたって極めて緩和的な姿勢を維持する」との強い意思表示につながる。