節税や融資のことを考えると、やっぱり顧問契約をしておいたほうがいいのでは……、と思っていませんか?
でも、会社にお金を残すことを考えるのであれば、節税のために顧問契約を結ぶことはおすすめできません。顧問契約料を上回る節税効果を得るためには、それなりに大きな利益を出していることが前提になるからです。
連載5回目は、「決算だけ」でもできる効果バツグンの節税対策と、「決算だけ」におすすめの融資対策を解説します。

 

節税のために顧問契約を結ぶのは損!?
「決算だけ」でもできるおすすめ節税対策

「決算だけ」の場合でも、税理士は節税に協力してくれるのでしょうか?結論から言えば、依頼する側から特に働きかけなくても、常識的な処理は行ってもらえるでしょう。

 ただ、現実問題として、決算日を過ぎてから打てる節税対策は限られてきます。やはり、期中から早めに相談しながら進めたほうが、より有効な対策を講じられるのは言うまでもありません。

 一方で、顧問契約料を上回る効果を節税で得るには、それなりに利益の出ていることが前提となります。赤字であれば、節税の必要がないわけですから、節税を主目的に顧問契約を結ぶのは、よほど経営が安定していない限り、リスクの高い選択といえます。

 そう考えると、節税対策そのものはパーフェクトに行えなくても、「決算だけ」で毎月の支出を抑える安全策をとったうえで、自力で行える対策と、「決算だけ」の税理士の指示に従った対策をとっていくほうが、着実にお金を残すことができるように思います。

 自力で行える節税対策にはいろいろありますが、ここでは効果バツグンの方法を一つご紹介しましょう。「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」への加入です。

 中小企業倒産防止共済の本来の目的は、取引先が売掛金を未払いのまま倒産したような場合に、連鎖倒産等を防ぐためのものですが、節税対策としても有効なのです。

 その理由は、月に最大20万円、年間240万円の掛金が全額損金にでき、しかも一括払いが可能だからです。つまり決算日前であれば最大240万円もの額を一気に損金にできるのです。

 掛金は最大800万円まで積み立てられ、40カ月以上積み立てると、自己都合で解約しても100%戻ってきます。ただし、一部解約はできません。