2007年10月9日にFRBは、0.5%の利下げを決定した9月18日のFOMC議事要旨を発表した。「すべてのメンバーは、50べーシスポイント(0.5%)の利下げは最も用心深い行動だと賛成した」。このフレーズに米株式市場は好感した。反対者がいなかったということは、今後の連続利下げが期待できる、という解釈である。

 しかし、この議事要旨は、実際よりもメンバーの一体感をやや強調しているかもしれない。バーナンキ議長のリーダーシップをおもんぱかって反対意見は表明しなかったものの、0.5%という利下げ幅に渋々同意した幹部はいたのではないかと推測している。

 議事要旨の最後のほうに、今回の声明文にはリスクバランス(先行きの経済にとってのリスクに関する表現)を記述しないほうがよい、との判断が載っていた。経済の見通しに強い不確実性があるからだという。FRBの将来の行動は、経済見通し次第だ、という議論で終わっている。つまり、9月時点では市場に連続利下げを織り込ませたくなかったことがわかる。

 FOMC内で重要な役割を果たすコーン副議長は、10月5日の講演で、9月の利下げは、市場の混乱で生じた与信状態のタイト化を相殺することが目的だったと説明したあとで、次のように楽観的な見通しを述べた。

 「金融政策の効果は時間のずれを伴う。われわれの金融緩和が効果を表すのは数四半期先だろう」「住宅建設はおそらく今後数ヵ月間にさらに下落する」「しかし、経済は緩やかな成長経路へ戻っていくと予想している」「消費支出は雇用と所得の成長に支えられ続けるだろう」。

 コーン副議長は、このまま利下げを打ち止めできるとは考えていないと思われるが、次回10月31日のFOMCに関しては、市場の状態や経済データを見ながら考慮するつもりなのだろう。「金融市場がどの程度回復するかわれわれにはわからないし、家計や企業が金融の変化にどの程度反応するかもわからない」と先行きの不確実性を強調している。

 セントルイス連銀のプール総裁は10月9日に「9月の雇用統計は、ダウンサイドリスクが発生していることを示唆していない」と述べた。同日にサンフランシスコ連銀のイエレン総裁は、かなり警戒的な景気見通しを講演で述べている。同連銀は、全米のなかでも住宅市場のトラブルが集中している有数の地区であるカリフォルニアを担当している。

 さまざまな見解がFRB幹部から出ているため、10月末のFOMC当日まで彼らから目が離せない状況が続きそうである。
(東短リサーチ 取締役 加藤 出)

※週刊ダイヤモンド2007年10月20日号掲載分