とうとう最後の連載になりました。ここまでおつき合いいただきまして、ありがとうございます。これまで「安易な拡大戦略をとるのはやめて、無理に会社を大きくするのはやめよう。時代に合った経営をしていこう」というお話をしてきました。最終回の本日は、経営者の「幸せ」「やりがい」について考えてみたいと思います。

「人生の充実」も
経営者の大きなテーマ

 経営者の幸せ・やりがいの1つ目は、「仕事だけをするのではなく、広い視野を持って活動することで、人生が充実する」ではないかと思います。

 小さな会社の経営をやっていく場合、時間的な余裕が生まれる場合が多いと思います。仕事以外の余剰時間を使って、家族と過ごす、あるいは地域社会に貢献するなどの活動もできます。また子どもがいる方は、子どもと接する時間を長くしたり、子どもに直接教育を施すことができるでしょう。

 仕事だけではなく、それ以外のことにも時間を使ったほうが、人生全体のバランスもとれますし、世の中にとってもプラスに働くのではないかと思っております。

 経営は、会社規模を拡大すればするほど難しくなります。資金繰りの問題をはじめ、さまざまなリスク対応を迫られるからです。労務・法務・税務など、おそらく多くの経営者にとって「嫌な仕事」の比重がどんどん高まります。

 難しい経営をすれば、そのぶんプライベートにしわ寄せがきます。家族との時間もなくなり、土日も仕事に明け暮れる、これならサラリーマンのほうがよかったんじゃないか、そんな経営者をたくさん見てきました。

「経営者としての成功」ももちろん大事ですが、こうした「人生の充実」も、経営者にとっては大きなテーマではないかと思っております。