2013年1月、国内基幹事業会社3社をキリン株式会社(KC)の下に統括する。綜合飲料会社の設立の意図を聞いた。

キリン株式会社社長(13年1月1日就任予定) 磯崎功典 <br />国内でのブランドを再強化 <br />3社一体となり再投資を行うPhoto by Masato Kato

──KC設立の狙いは。

 ここ数年間、海外のM&A投資が増える一方で、国内事業への投資は不足していた。特に長期的に投資が必要なブランド投資が遅れており、競合と比べてもブランド力で劣後してしまった。

 一方、キリンビール(KB)、キリンビバレッジ(KBC)、メルシャンという、もともと別個の上場企業だった3社は07年のホールディングス化以降“連携”はしていたものの、“一体”ではなかった。長期経営計画KV2015の策定時に想定した綜合飲料戦略とも一致しない。

 お客さまは安さだけでなく、ユニークで創造的な商品を求める。そんな商品を出し続けて競争に勝ち残るためには強い組織力が不可欠だ。ここでいま一度、専門機能を集約し体制を立て直す。そして既存事業が本当の意味で成長することを目指す。

──KCは具体的に何をするのか。

 まず、間接部門と、R&D、CSR、お客様相談室の機能などを一本化しコスト削減を図る。さらに、国内事業において横串でブランド投資の最適化を行う。各事業会社での戦略商品やブランドに他から経営資源を大胆に振り分けることが可能になる。

 例えばヒットとなったKBCの「メッツコーラ」などの宣伝や開発に、KBなどからヒトと予算を分配することも可能になる。

 R&Dの統合のシナジーも大きい。例えば成長事業の一つであるRTD(缶チューハイ、カクテル)の開発でキーとなるのは、KBのビールの発酵技術ではなく、KBCの飲料の開発技術だからだ。国内事業のM&Aの機能もKCが担当し、キリンホールディングスは、世界のグループ戦略に特化する小さな組織となる。