人は「その気」になりさえすれば、夢も実現してしまうもの。1970年代から大脳生理学を利用した科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、現在ではビジネス、スポーツ、教育など多くの分野に門下生を持ち、メンタル面の指導を行い、それによって多数の成功者を輩出している西田文郎氏。
今回は「その気」を生み出すために必要な「メンタルの影響力」の大切さを解説します。

「その気」を生み出すには
「ワクワク感」があればいい!

 前回、成功している人は皆、「その気」になっていると申し上げました。しかし、この「その気」をコントロールするのにいちばん必要なのが「ワクワク」する気持ちです。

 ワクワクとは、こんなことが実現したらすごい!とても楽しみだ!といった脳がときめいている状態です。

 以前と違って、最近はトップアスリートの皆さんのコメントでも「試合を楽しみたい」とか「楽しんで挑戦したい」などと話すのをよく聞くようになりましたが、こうしたコメントが出る状態こそ「その気」になっている状態です。

 ビジネスで成功している社長さんたちも、

「会社でこんなことを目標にやっています!来年には××億円の売上を達成しますよ」とか「新しいビジネスを始めて、来年には実現できそうです」など私に報告してくれるときには、目を輝かせています。

 こうした人たちが共通して持っているのがワクワクした気持ちです。

 人は楽しんだり喜んだりすると、脳が「快」の状態になり、なんでも肯定的に受け取れるプラス思考になります。逆に脳が「不快」の状態になると、否定的なマイナス思考になります。

 つまり「肯定的な脳」を持つことが成功へのカギですから、ワクワク感はとても大切です。

脳がプラス思考のときは
どんなことも辛くない!?

 プラス思考の人は、どんなことがあってもへこたれません。これは科学的にも証明されていて、脳が「快」の状態だとアドレナリンやドーパミン、エンドルフィンといった脳を活性化させる神経伝達物質が出て、エネルギーがあふれ出すのです。

 ワクワクしながら「今度の仕事は絶対に成功する!」と脳が「快」の状態であれば、その仕事のために徹夜しても辛くないでしょう。仕事にやりがいを感じて、充実感で満たされているかもしれません。

 仕事だけではありません。自分の楽しみな試合やコンサートを見るために徹夜で並んでチケットを取る、大物を釣るために真夜中から釣りに出発する場合など、脳は「眠れない」というマイナスよりも「楽しみだ!」というワクワク感を感じているので睡眠不足も気にならないのです。

 スポーツに置き換えれば非常にわかりやすいのですが、人はプラス思考だと、ここぞ、というときに強いものです。

 たとえばサッカーで大事な場面に、ゴールキーパーと1対1のペナルティーキックになってしまったとしましょう。プラス思考で「チャンスだ!ここは絶対に入れる、入る気がする!」と思う人と、「ここで入れないと後がない。外してしまったらどうしよう」と思ってしまう人では成功率が違ってきます。

 実は「脳」というのは、自分が思った通りのイメージを実現しようとします。一瞬でも「外してしまったら……」という否定的な思いが浮かんだ瞬間、脳は失敗するイメージにとらわれてしまいます。

 スポーツでイメージトレーニングが大切というのはそういった理由からです。しかし単なるイメージだけでは成功できません。成功するのに必要なのはイメージにプラスして「ワクワク」する気持ち、脳が「快」の状態になっていることが大切なのです。

 どんな状態でも、脳を「快」の状態に切り替えていく、そんな方法が私の提唱するブレイントレーニングなのです。