オバマが再選された。結論から言えば、有権者は「米国は特別な国」という過去の栄光を諦める決断をした、ということだ。

 今回の大統領選挙は米国の針路を問う戦いだった。内政では「少数の富裕層が牽引する社会」vs.「格差を狭める底上げ社会」。対外的には「アメリカの誇りを取り戻す外交」vs.「対話による緊張緩和」。国家の在り方が争点となった。

「米国一極の世界構造」が終わったことにうすうす気付いた米国民は、経済力に見合った内政・外交に舵を切る指導者を選んだ、といえる。オバマは「撤退作戦を担うリーダー」として、歴史的役割を背負うことになる。

 だが半数近い有権者が「強者が牽引する社会」を求める現実も明らかになった。下院は共和党が多数を占める「ねじれ国会」である。オバマが理想を掲げても、法案は通らず妥協を重ねて、換骨奪胎されることが続くだろう。さらに巨額の財政赤字が政策を縛る。「公正な社会」を掲げ社会の底上げを目指すオバマが政治を動かし、結果を出すには極めて難しい情勢だ。

米国のノスタルジアとの戦い

 オバマにとって、これからの4年間は「米国のノスタルジアとの戦い」となるだろう。

 米国人、とりわけ白人系米国人が抱いてきた自画像は「世界からヒトもカネも集まり、ビッグビジネスが稼ぎ出す資金で圧倒的な軍事力を抱え、世界に正義を貫く国」だろう。そんな強国ぶりは1970年代までだったが、苦しくなると過去の栄光が甘く思い出される。

 ロムニーの選挙は、そうしたノスタルジアに訴え「強いアメリカ」を前面に出した。中国を標的にして「大統領になったら中国を為替操作国に認定する」と対決姿勢を鮮明にした。対ロシア、対イランでも強硬外交を掲げ、冷戦下の指導者レーガン大統領を思わず彷彿させる政見だった。

 だがロムニーが大統領になっていても、「強いアメリカ」の復権は難しい。今や米国には軍事大国を担う経済力がない。