住宅を「買う」だけでも大変なことだが、「売って買い直す」住み替えになると、大変さは2倍、3倍になる。愛着のある家は高く売って有利に住み替えたいものだが、そのためには何に注意し、どう行動すればよいのだろうか。

「一般」か「専任」かで
異なる不動産業者の対応

3種類の仲介契約

 東京・品川区のマンションで暮らしていたT・Kさんは、自分の母親と2人の息子の5人家族。今年の夏、中古の一戸建てを購入して住み替えた。

 住み替えでは、まず、その住居をうまく売ることが第一の課題となる。Tさんはどの不動産業者に頼むべきか、迷ってしまった。

 住宅の売却を不動産業者に依頼する場合、「一般媒介」と「専任媒介」「専属専任媒介」という三つの契約形態がある(右図参照)。業者を選ぶだけでなく、どの契約にするかも決めねばならない。

 知人に聞くと、「多くの仲介業者が物件情報を流してくれるから、一般媒介が有利」だという。しかし別の人は、「専任媒介のほうが、業者が熱心に売ってくれるから、早く売りやすい」と、異なる意見だ。

 Tさんが最初に契約した業者は、比較的親切な対応だったが、確かに「一般媒介で」というと、あまり熱心には売ってくれなかった。一度だけ、他の物件と混載したチラシを周辺に配布してくれたのみ。「この地区で中古物件を探している人に、直接連絡して紹介した」と報告を受けたが、それきりだった。

 3ヵ月後、別の業者にあらためて「専任媒介」を依頼すると、物件写真入りのチラシをつくって配布、インターネットの不動産情報サイトにも物件情報を掲載して、さらに「オープンルームを開きましょう」などと具体的なアドバイスもしてくれた。さまざまな販売促進を行った結果、約4ヵ月で売却に至ることができた。