12月に入り、居酒屋の前では「忘年会受付中」ののぼりやチラシを目にするようになった。日本最大のグルメ情報サイト「ぐるなび」でも、トップページに出てくるのは「忘年会特集」。これから1ヵ月間が、飲食業界にとって最大の稼ぎ時だ。

 飲食店としては早く予約で埋めたいところだが、客側が「間際のほうが、クーポンなどでコース料理が安く注文できたり、2時間コースが3時間になったりなど、条件がよくなる」と考える傾向が強く、早割サービスはあまり利用されていない。また、早い予約は、ほかの店にも電話をかけた客からキャンセルされる可能性もある。

忘年会の取り込みにビジネスチャンス<br />後発のパソナのグループ会社が<br />飲食店のジレンマを解決する新サービスで攻勢「食べタイム」の早割は今のところはスマホでしか利用できない

 店にとってのこのジレンマに目を付けたのが、パソナグループのベネフィット・ワンだ。同社が運営する「食べタイム」で11月半ばから新しいタイプの早割りを始めた。15日あるいは30日以上前の予約にかぎり、コース料理が半額になるうえ、席も指定できるというものだが、予約はスマートフォンで行い、クレジットカードで決済まですまさなければならない。

 グルメ情報サイトでは「ぐるなび」、クーポンサイトでは「グルーポン」などの先行組が強力な基盤を築いている。「食べタイム」は後発からの成長を狙い、この新サービスを考案した。「勝算はある」と白石徳生・ベネフィット・ワン社長は自信を見せる。

 というのも、飲食店にとっては、「ぐるなび」では掲載料、「グルーポン」では紹介手数料がかかるが、「食べタイム」では掲載料も紹介手数料も無料だからだ。

 しかも、予約をした時点で決済するので、店側にキャンセルリスクの心配がない。

 このようなビジネスモデルが可能になったのは、福利厚生代行サービスの一つとして位置付けているためだ。