ついに日本を上回った
韓国の経常収支黒字

 東日本大震災後の日本の貿易収支が赤字に転じていることは、よく知られている。貿易収支の赤字化に引っ張られる形で、経常収支の黒字も縮小している。直近9月の経常収支(季節調整済み)が1981年3月以来の赤字になったことは、新聞などでも報じられた。

 こうした中、1つの象徴的な出来事が起きた。日本と韓国の経常収支の逆転だ。細かい振れを除くため、四半期ベースで日本と韓国の経常収支を振り返ると、直接比較できる1985年以降で初めて今年7~9月期の韓国の経常収支黒字が日本を上回った(図表1参照)。

 もちろん、こうした逆転現象が定着するとは言い切れない。しかし、これまで続いていた円高トレンドが、中長期的に変わるきっかけを内包している可能性もある。

ついに日本と韓国の経常収支が逆転 <br />短期のインプリケーション vs <br />長期のインプリケーション<br />――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

韓国では貿易収支に加えて
サービス収支も黒字に

 韓国の経常収支の内訳を見ると、貿易収支が安定して黒字であることがわかる(図表2参照)。同時に、長きにわたって赤字であったサービス収支も黒字に転嫁している。

ついに日本と韓国の経常収支が逆転 <br />短期のインプリケーション vs <br />長期のインプリケーション<br />――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト