大和証券SMBC社長 吉留 真
撮影:住友一俊

 三井住友フィナンシャルグループが、日興コーディアル証券などの買収を決定したが、(三井住友の出資を受けている)当社が三井住友と決別するようなことはない。今後も提携関係は持続する。むしろ、さらに深くなっていくと思う。

 ただし、三井住友のグループ傘下に入るなど、行き過ぎた提携となっては、逆に成果は発揮しにくい。

 というのも、金融商品の組成に至るノウハウなどは、長い年月をかけた経験の積み重ねがモノを言うからだ。これは、証券会社だからこそ持っている強みだ。であれば、経営権をすべて三井住友に委ねてはうまくいかないだろう。

 2008年度決算は1449億円の純損失となった。これは、トレーディング部門の不調と、自己資金による投資有価証券や不動産の評価損が主な理由だ。ただ、同業他社の状況を鑑みれば、まだマシなほうだろう。

 今年度は、投資銀行部門での実績を上げていく。企業の資金調達が増えてくるからだ。

 特に、自動車や電機といった輸出企業の経営者たちと話していると、すでに在庫調整は完了し、市場は底打ちした感がある。これらの企業が増収増益の見通しを立てれば、エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)は行ないやすい。

 さらに、これらは設備投資資金の需要だから、一社一回当たりの発行額も1000億~2000億円と大きい。時期としては上期中、遅くとも7月頃までにはなんらかの結果を残せるだろう。(談)

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 @@@@)