東京証券取引所グループ社長 斉藤 惇
撮影:住友一俊

 上場企業の収益力が急激に下がってきている。日本の株式相場は、比率だけ見れば米国以上に落ち込みが激しい。

 これはわれわれの責任でもある。特にマザーズ市場がうまく機能していない。というのも、日本企業の時価総額トップ100位以内に、新しいビジネスモデルを掲げる新興企業が登場していない。

 それどころか、ビジネスモデルを次から次へと変えていく企業すらあり、決して好ましい状態ではない。マザーズのあり方については、引き続き議論しているところだ。

 一方で、1月末には新市場「TOKYO AIM」の概要を発表した。マザーズとは異なり、上場基準を大幅に緩めた新興市場で、ハイリスクだから投資家をプロ(機関投資家や3億円以上の資産を持つ個人投資家等)に限定する。

 本来、資本市場の役割とは、リスク資本を技術力や成長性の高い企業に長期的に提供することだ。だが、日本の取引所はその役割を果たせていない。

 銀行の中小企業への貸し渋りが問題視されているが、銀行は預金を預かっている以上、必要以上のリスクは取れないし、また取るべきでもない。銀行がある程度貸し渋るのは、正しい判断なのだ。

 となると、リスクマネーを提供できるのは、やはり資本市場であろう。それをまず、TOKYO AIMで実現させたい。

 成功の鍵は、プロ投資家の理解にある。機関投資家はハイリスクを敬遠しがちだが、今年4月の創設までに、彼らに新市場の意義と魅力を伝えていきたい。(談)

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 池田光史)