2009年半ばからの
日本株の出遅れ

 下記の図表は、金融危機以降の主要株価指数の推移である。日本株は他国の株式と較べて明らかに出遅れていただけに、ここ2ヵ月の株高はこれまでの出遅れの調整の側面が強いと評価される。また、こうした出遅れが生じた過去3年は、日本の株式市場の「失われた3年」であっただけに、その脱却が2013年の課題になる。

日本株市場の「失われた3年」<br />安倍政権は“ジャパン・ペシミズム”から脱却できるか<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

 それでは、なぜ2009年以降の日本株の完全な出遅れ、日本の株式市場の「失われた3年」が生じたのかを、改めて考える必要がある。ここで、2009年後半以降に乖離ができた要因を考えると、次に挙げる2点がある。

①為替の円高局面

②民主党への政権交代

 為替の円高は2007年以降続いており、2009年後半から新たに生じたものではないが、円高の影響が株価の重石になっていたのは事実であろう。一方、2009年9月の民主党政権の誕生は、非連続的な影響を市場に与えた。「生活者重視」とするスローガンのなか、企業との一体感など「プロビジネス」な動きが後退したとの印象が生じた。

均衡財政の乗数

 マクロ経済学の教科書に必ず出てくる議論に「均衡財政の乗数」がある。その意味するところは、増税を行ってその同額の公共投資を行うと、GDPが公共投資の分、拡大するというものである。簡単な数式示すと図表2の通りである。

日本株市場の「失われた3年」<br />安倍政権は“ジャパン・ペシミズム”から脱却できるか<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト