イノベーションと起業家精神
ダイヤモンド社刊
2000円(税別)

 「イノベーションは、焦点を絞り、シンプルにしなければならない」(『イノベーションと起業家精神』)

 一つのことに集中しなければならない。さもなければ焦点がぼける。シンプルでなければうまくいかない。

 新しいものは必ず問題を生じる。複雑であれば、直すことも調整することもできない。成功したイノベーションは、驚くほどシンプルである。

 イノベーションに対する最高の賛辞は「なぜ自分には思いつかなかったか」だと、ドラッカーは言う。

 イノベーションとは、既存の知識、製品、顧客のニーズ、市場など、すでに存在するものを、はるかに生産的な一つの全体にまとめるうえで必要な小さな欠落を発見し、その提供に成功することである。

 したがって、イノベーションが機会をもたらす領域を発見するには、すでに可能になっているにもかかわらず、欠落したままになっている致命的に重要なものは何か、経済的な効果を一変させるものは何かを問わなければならない。

 イノベーションが最初の段階からほぼ正しいという程度以上のものであることは、稀である。変更がきくのは規模が小さく、人材や資金が少ないときだけである。しかし、イノベーションに成功するには、最初からトップの座を狙わなければならない。

 「最初からトップの座を狙わないかぎり、イノベーションとはなりえず自立した事業ともなれない」(『イノベーションと起業家精神』)