「20代の部下たちの考えていることがさっぱりわからない」――企業研修・コンサルティングに携わる石田淳氏はマネジャーたちからこんな切実な声を聞くという。従来とは質の異なる上司・部下間のギャップとその解決法を提示する。

マネジャーたちの切実な悩み

 私は「行動科学マネジメント」という手法でさまざまな企業の人材育成のお手伝いをしています。行動科学マネジメントとは、米国で大きな成果を上げている行動分析に基づく手法で、人のやる気や態度や性格など、曖昧でバイヤスのかかりやすい要素に頼らず、行動に焦点を当てた科学的なやり方です。

 部下を育てながらも自身の業績アップも求められるという難しい立場に置かれたマネジャーに、行動科学マネジメントは、寄与するところが大きいと自負しています。

 実際に、我が社のセミナーに参加するマネジャークラスも激増していますし、経営者からも「マネジャーたちの悩みを解決してやってくれ」という依頼が後を絶ちません。

 そうした中で私は、マネジャーたちからある切実な声を聞くことになります。
「20代の部下たちの考えていることがさっぱりわからない」

 社員数20万人を越えるような大企業から、50人程度の小規模企業まであらゆる業態の企業のマネジャーたちと話をさせていただいていますが、業種や企業規模を問わず、これが彼らの共通した悩みなのです。

 以前だったら、上司が部下について「わかろう」などとしなくても、問題なく仕事を教えていくことができました。部下は上司よりも若い分、単に仕事について新米なだけだったからです。

 しかし、いまは、上司であるマネジャークラスと若い部下の間には大きな溝が生まれていて、マネジャーたちはそれを埋めることができずにいます。